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八章 1
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「あっ、く……、んあっ!」
カーテンの隙間から月明かりが差し込む薄暗い部屋。二人の青年の息遣いと少し苦しげな声、寝具を軋ませる音が響く。
「ミーシャ、あっ、無理です……」
ミハイルの上に跨っているニコライ。腰を下ろそうにも下ろしきれずにいた。太腿が僅かに震えている。
彼の腰に両手を添えるミハイル。
「そのまま腰、下ろして」
その言葉に、ニコライは首を横に振る。白銀の長い髪が肩を滑り落ちた。
彼の顔からその震える大きな手に、ミハイルの視線が流れる。
「あと少しだよ?」
「でも……、んああっ!」
突然ミハイルの手に尻を無理矢理下げさせられ、ニコライは大きく喘いだ。自分の上に座ったニコライに、ミハイルは微笑む。
「全部入ったね?」
「ううっ……酷い、です」
「何が?」
そう言ってミハイルがニコライの性器を掴んだ。
「ああんっ!」
「イイんでしょ? ここ、こんなにして」
完全に勃ち、透明の液体を先端から溢れさせているニコライの性器を、ミハイルが手で弄ぶ。
「ほら、動きなよコーリャ。腰を上げて?」
「ああっ、やめて下さいっ! う、あんっ!」
ミハイルが手をニコライの性器から臀部に移動させた。力を込められ、ニコライが腰を上げさせられる。
「くううっ……あっ……」
先端の方まで上げ、一気に腰を下ろす。ミハイルに突き上げられるニコライ。
「ああっ!」
「できるでしょ? 続けてよ」
ミハイルにそう言われたニコライは、再び腰を上げた。
「く、うぅ……」
涙目で腰を動かし、突き上げられる度に喘ぐニコライをミハイルは下から眺める。苦しそうだが、ニコライも快感を感じていることは明らかだ。
この状態では、ミハイルから彼の姿が全部見える。揺れる銀髪も、上気した顔も、しなやかな体も、快感に反応した性器も。その全てが艶かしく、ミハイルを興奮させた。
「ああっ、あ、くっ……!」
徐々にニコライが腰の動きを速くしていく。
「ミーシャ……、動いて、ください」
ニコライは腰を動かしているが、それでは達することができないらしい。
薄笑いを浮かべるミハイル。
「もっと可愛くおねだりしてみてよ」
「は……?」
「そしたら俺が上になって、もっと気持ち良くさせてあげる」
ミハイルの言葉に、動くのをやめて眉を眉間に寄せるニコライ。真面目な性分の男だ。そんなことも真剣に考えてしまうらしい。
「……可愛くって何ですか?」
数秒後に返って来た言葉に、ミハイルは吹き出した。
「あははっ! いいよ、もう。ニコライは十分可愛い」
「え、あ、ああんっ!」
ミハイルが体を起こし、挿れたままニコライと体勢を反転させた。
「イかせてあげるよ、コーリャ」
「んあっ、ミーシャっ……!」
ミハイルに奥を突かれ、ニコライが少し上擦った声で喘ぐ。
「あんっ、う、くああっ!」
激しくなるミハイルの動きに、ニコライの目から涙が零れた。
腰を動かしながら、薄く開いたニコライの唇に自分の唇を重ねるミハイル。深く、角度を変えながらキスを繰り返す。吐息が、甘い喘ぎがキスの合間に漏れ、二人は高みへと近づいていく。
「んっ、ふぁ……、コーリャ、」
「も、イくっ、ミーシャ……! ああぁあん!!」
「コーリャっ、あっ!」
ニコライが達し、その直後に強く締め付けられたミハイルが達した。ニコライの精液が二人の腹部にかかった。
暫時、二人の呼吸音だけが暗い部屋に響く。その後にミハイルが寝具を軋ませながらニコライの上から退いた。
「気持ち良かった、ね?」
笑顔でそう言って、ニコライの中から性器を出すミハイル。付けていたコンドームを外し、寝具の横に置かれたゴミ箱に捨てた。
ミハイルを横目で見ているが、動かないニコライ。長い銀髪がベッドの上に広がり、その上に全裸の天使は仰向けになっている。
「…………」
陶器のように白く滑らかな肌と、見事な肉体美。精巧な彫刻かのような美しい顔。生物とは思えない姿だが、腹の上に散らされた精液だけがやけに生々しい。
ミハイルは片手を彼の頭の横に起き、その顔を覗き込んだ。さっきまでミハイルを見ていた双眸。その紫水晶のような淡い青色の両目の、焦点が合っていない。
「……大丈夫?」
ミハイルに問われ、ようやくニコライの瞳は彼を映した。
「ええ」
「そう、良かった。一瞬君が人形に見えた」
そう言い、彼の上から離れるミハイル。
「お人形を抱く気は無い」
そしてニコライに背を向け、脚をベッドから下ろして座った。正面には窓。カーテンの隙間から差す月明かりに目を細める。するとニコライが起き上がり、彼を後ろから抱きしめた。裸の二人の素肌が重なり合う。
「私を捨てないでください……。あなたしか、いないんです」
泣きそうな声だった。震える体は温かい。人形ではない、生身の身体。確かに生きている天使。
ミハイルは口角を上げ、彼の白い手を握る。
「俺がコーリャを捨てるはずないでしょ? 君が君でいる限りね」
「はい、私は私です」
「……本当かな?」
ミハイルが振り返ったので、ニコライが彼を離す。整った彼の美貌は、逆光でニコライにはよく見えない。
「ニコライは、ニコライかな?」
「どういう意味です?」
「まあ、いいよ。どうだって。俺だって自分のことはよくわからないんだ。君のこと以上にね」
不可思議な言葉を吐き出し、体もニコライの方に向けるミハイル。
「もし君が自分は自分でないと思っても、俺を愛してよね」
「私はもう、あなたがいない世界なんて嫌です」
「…………」
無言でニコライの唇を塞いだミハイル。すると思いがけず、ニコライの舌が口の内に滑り込んできた。そして彼の逞しい腕がミハイルの躰を抱く。
ミハイルは自分の口腔を蹂躙する彼の舌が自分が彼をそうする時の動きとよく似ていることに気づいた。彼は自分以外の誰ともセックスをしたことがない。彼は自分を真似て誘っているのだ————そう思うとミハイルは嬉しくなり、彼を抱き返した。
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