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rev .21
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Kとマキの活躍により、事件は終息した。ホテル側が警察に連絡を入れていたことと、現場に田中がいたことが大きかった。
「ハニーさん、色々大変でしたなぁ」
その田中に呼ばれて岡崎がやってきた。Kは表向き大阪府警の協力者という扱いになっているため、田中が手を回して事情聴取は岡崎がやることになり、現場から離れることが出来たのだ。大悟はマキ、岡崎と共に徒歩で宿泊先のホテルに向かっていた。
「岡崎さんこそ、俺達のために呼ばれたんでしょ。夜遅くにごめんなさい」
大悟は立ち止まって頭を下げたが、途端に岡崎は慌て始めた。
「いやいやいや、謝らんとってください!? こんなとこ師匠に見られたら怒られますさかい!?」
「Kは居ないから大丈夫だよ」
岡崎がやってきたのを確認するや、Kは先に宿泊先のホテルに戻った。藤原が心配だからという理由だったが、彼とクロードを一緒にしたのは他ならぬKである(正確にはレイの指示だが)
クロード絡みで何かあったのかな。だったらこの事件、エーデルシュタイン絡みってことになるのかな。
Kは多くを語らなかったし、今は岡崎がいるため、心で呟くことしか出来ない大悟だった。
「大丈夫だよ、ツトムン。サカさんが本気で怒ったら、問答無用でバラすだけだからさ」
大悟の右隣にいるマキはケラケラと笑った。
「つまり、師匠は怒ってへんゆうことかいな」
「うん。サカさんはツトムンのこと気に入ってると思うよぉ」
気に入られてるようには見えへんけどなと呟き、岡崎は渋い表情になる。
「でも、ホテルで銃乱射事件なんて、日本もアメリカ並みになっちゃったね」
ホテル周辺は警察車両に救急車、野次馬にマスコミと大混乱だった。
「それはそうなんだけどぉ、この事件、揉み消されるんじゃないかな」
大悟の呟きを受けて、マキはさらりと言い放った。
「あんな大騒ぎになってるのに?」
「銃の所持だけで罰せられる平和な国だからね。一般人が銃乱射して無差別殺人なんて、世間に及ぼす影響が大きすぎるもん」
マキは平然と言い切ったが、これには岡崎も首を傾げる。
「一般人に多数犠牲者でとるやろ。さすがに誤魔化せんのとちゃうか」
「それならそれでいいよ。僕が気になるのはサカさんの方だよ。変な薬打たれてなきゃいいんだけど」
マキの言葉に、大悟は岡崎を顔を見合わせた。
「Kに何かあったの?」
「カナカナの位置からは見えなかったかぁ。サカさん、犯人に注射器ぶっ刺されたんだよ」
大悟は田中と一緒だったし、テーブルが盾になってKの様子は見えなかった。いや、見えなかったというよりは怖くて見に行けなかったが正解かもしれない。
「それで、Kは大丈夫なの!?」
「たぶん。それどころじゃなくなったから忘れてると思うね。一応レイに連絡しておいたから、フォローしてくれると思うよ」
あの騒ぎの中でも動じることなく、マキはレイに報告を入れていたようである。
「ごめん、マキ。俺がやらなきゃいけないことなのに」
「謝ることなんかないよぉ。てか、よくあの修羅場で取り乱さずにいたよね。偉いよ、カナカナ」
マキは満面の笑みを浮かべながら、大悟の頭をわしゃわしゃと掻き回した。
「Kが側にいてくれたから。俺ひとりじゃ絶対無理だった」
本当は思い出すのも怖い。今もマキと岡崎が側にいるから、平静を保っていられるだけだ。
「怖いって感情は必要だよ。僕達みたいに慣れちゃうのは良くないからね」
「でも、それじゃあ!?」
Kには追いつけない。その言葉は飲み込んだ。
「そのうち嫌でも慣れてくから。サカさんも、カナカナにそうなってほしくないと思ってるよ」
「師匠の気持ち、なんとなくわかりますわ。ハニーさんには今のままでいてほしいですな」
岡崎もマキの言葉に同意したが、大悟の気持ちは複雑だった。
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