アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
可愛い=弟
-
「百環(トワ)〜オレも一緒に行きたかったああぁぁぁ」
「残念ね藤弥(トウヤ)私だって兄弟揃って出かけたかったのよ」
「んな勝ち誇ったような顔して言われても慰めになんねーよ!」
「やっぱり日にちずらした方が……」
言葉遊びをする2人に予定をずらすかと提案した百環の側に、ベタベタ纏わりつきながら恨み後を垂れるのは百環の兄である藤弥、そんな藤弥をちぐはぐな言葉と表情で諭すのは二人の姉、紅葉(イロハ)。この日、3人揃って新しく出来たホテルのスイーツバイキングに行く予定だったのだが、藤弥のバイト先で急な欠員が出たらしくその補填で呼び出しが入ったところだ。
「ダメよ、今日逃したらまた次いつ予約取れるかわからないわよ?」
有名シェフがどうたらこうたらで、予約が殺到するバイキングである。今回こうして予約が取れたのは、紅葉の通う女子校にそのホテルの関係者の娘がおりその人から今回のチケットを貰ったのだ。最も、その人は「ご、ご友人をお誘いしてはどうでしょう!もし良かったらわた、、」と話終わる前に紅葉は「あら、ありがと。3枚もいいの?そうね、弟連れて行こうかしら。甘いもの好きだし」と普段の涼し気な顔から一変、穏やかに柔らかい笑みを浮かべて去って行った。チケット差し出した本人もその顔を見ては何も言えず、紅葉のその微笑みだけを心のフィルムに保存した。
「……そうだそ百環、オレとはまた日を改めて出かけよう。何なら明日でも、」
「藤弥、明日は学校だよ」
藤弥はしばらくごねていたが、いい加減出ないと時間に間に合わないとキレた紅葉が「写真は山ほど撮ってきてやるからいい加減離せ」と耳打ちし渋々といった様子ではあるが百環を引き止めていた手を離した。
「じゃあ、行ってくるね?藤弥も頑張って」
「あー、めちゃくちゃ頑張れる百環の為の労働だと思えば……紅葉!忘れんなよ!」
「はいはい、じゃ、行こっか」
玄関を出て藤弥は左へ、2人は右へと進みホテルのある方へと向かった。
「人すごいね」
「日曜だもの、皆遊びたいのよ」
ホテルのある近くまで来ればどこもかしこも人で溢れていた。見失わないようにと紅葉のそばにピタッとくっついて進む百環。紅葉はどこが満足気である。
「あ、ホテルってあれかな?」
遠目に見える背の高い建物、事前に調べたホテルの外観であった。
「アレね」
スルスルと人の間を縫って進みホテルの目の前までたどり着くと入口には長い列ができていた。さすが有名シェフが(ry である。
「最後尾どこだろ……」
「あ、大丈夫よ」
列に並ぼうと最後尾を探す百環を制して紅葉はキョロキョロと入口付近を見渡した。しばらくして、恐らく最前列付近である位置で列を正していた黒服のスタッフを見つけると百環を引き連れてそこへ向かった。
「こんにちは、本日のバイキングのご利用でしたら列の方に……」
「これ、確認して貰えるかしら」
紅葉が取り出したのはバイキングのチケット。黒服のスタッフは首を傾げながらもそれを受け取ると、一瞬目を見開き丁寧にそのチケットを紅葉に返した。
「失礼致しました。会場の方へご案内させて頂きます」
恭しく一礼した後インカムで誰かを呼び出しているようだった。
「紅葉、それ普通のチケットじゃないの?」
「あぁ、なんかあの子、ここのホテルの社長令嬢だからもしかしたらってね」
それは所謂VIP待遇と言うやつではと百環は驚いて自身の服装を見直す。これは、ドレスコードとかしなくて良かったやつ……?と1人頭を悩ませていた。そんな百環とは違って紅葉はホテルから出てきた別のスタッフと一言二言話すと百環に声をかける。
「百環ー、行きましょ」
つかつかと進む紅葉の後を慌ててついて行く百環。姉という生き物は、みんなこう堂々としたものなのだろうかとこれは百環の最近でてきた疑問である。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
1 / 2