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空くんが塾ですと。
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「雪、御免。俺、明日から塾通うから今までみたいに電車一緒に乗れない。」
突然の、下校時刻のことでした。
頭をドーンとトンカチで打たれたみたいな感覚。空くんが、じゅ、塾…ですと?
「空くん頭いいのに…、あ、じゃなくて了解。仕方ないもんね」
空くん頭いいのに通う必要なんてあるのでしょうか。いや、むしろ僕が行ったほうがいいのでは。受験生だってことすっかり忘れとったよ。
僕は今の成績キープしとけば慶祐大学入れるから塾なんてさらさら考えてなかった。
「空くんどこの大学にするの?」
「え、慶祐大学だけど」
一緒…!聞いてみると母から入れ入れ言われて仕方なく入るらしい。念には念を入れて、ってことなんだろうなぁ。
それにしても空くんと同じ大学。僕何故か完全に入れる気満々だけど、お互い入れたら幸せだなって思うんだ。入れる気満々の人って落ちるっていうよね…、僕も勉強しよ…。
というわけで今日が一緒にいつも通り帰るの、最後になるのです。まあ明日からも途中までは一緒なんだけど、ね。
「で、ユッケちゃんは今日から帰る途中でひとりぼっちっちなのねー?」
「ひとりぼっちっちって……ま、まあ、そうなるね…。」
翌朝、水やりの時間に和泉くんと話す。和泉くんは話しやすい。なんというか、犬だからかな。いや、自分から話しかけてきてくれるからかな。
教室の花の水やりを終えて校庭に向かう途中の階段で何話してるんだって感じだけど。
「さすがに塾行くなは言えないもんね〜、どうしようもな……っと、ユッケ…!おま、本当危なっかしいな。」
階段から弾を踏み外して体が宙に浮きそうになった時にバッと手が伸びてきて体を抱き寄せられる。………び、びっくりした…。
踏み外したら落ちるとこだった…あと8段くらいは残ってるし…、
………ん?
さっきの言葉を頭で再生してみる。途中まではしっくりくる。
「あの、…和泉くん…和泉くんって、キャラ…変わったり、します?」
突然荒くなった口調は、素が出るって聞きます、僕。
「…ふぅ、もう面倒いからいっか、ちとバレるの早いけど。いつものキャラは作っててこっちが素」
二コーっと笑うその姿は先ほどまでのにこやかな笑い方とは違って少し黒かった。
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