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アルバム絵本
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マキ「ねぇ♪ねぇ♪神さん♪」
家に帰った僕たちは、お風呂を済ませパジャマに着替えた。
相変わらず寝室にパソコンを持ち込む、仕事人間百目鬼さんに、僕は最近お気に入りのものをベッドに持ち込んでおねだりする。
マキ「また、コレ読んでお話し聞かせて♪」
百目鬼「……」
僕の手の中の四角い大きな物を見て、百目鬼さんが『またか』って顔して眉を寄せる。
百目鬼「……ハァ。お前それ飽きないのか…」
マキ「えへへ♪飽きなぁい♪」
満面の笑顔で可愛子ぶりっ子答えると、百目鬼さんはいつも、自分の中の猛獣を追いやるようにこめかみを押さえ、僕の瞳から逃れようとそっぽを向きながらその大きな手を差し出してくれる。
百目鬼「ッ…。お前は寝る前に絵本をねだるガキか」
マキ「んふふ♪この絵本の主人公、だぁーい好き♪♪」
百目鬼「グッ…」
子供のようにキラキラした瞳でラブラブビームを飛ばすと、百目鬼さんは益々葛藤して檻の中の猛獣と戦う。その困った顔が可愛くて、ワザとうるうるした瞳で上目遣いをしちゃうけど、本当に猛獣さんが出てきたらお話を聞かせてもらえないので、これくらいにして、百目鬼さんの腕の中に潜り込む。
マキ「ねぇ、賢史さんとはいつ知り合ったの?」
百目鬼「あ?、あぁ…、あいつがモテモテだって聞いて確かめたいのか?」
マキ「んー、それはちょっと興味あるけど、ずっと不思議に思ってたんだよね、賢史さんみたいなタイプと神さんが仲良しさんなのが」
百目鬼さんは複雑な表情で嫌そうに繰り返す。
百目鬼「…仲良しさんって…」
マキ「仲良しじゃん♪、神さん前に、賢史さんはいい奴だからって僕に勧めたじゃん」
百目鬼「ッあ、アレは…」
百目鬼さんがまだ僕を嫌いだった頃、賢史さんを恋愛対象に勧められた事がある。
マキ「それに、賢史さんも神さんのこと大好きだし、神さん虐める人は片っ端から逮捕しようとするし」
百目鬼「あいつは、昔の事未だに律儀に恩を返してるつもりなんだよ。昔、あいつの妹を助けた事がある」
マキ「へー、賢史さん妹さんいるんだ」
百目鬼「あぁ、あいつに似てない可愛らしいちゃんとしてる女の子だ」
マキ「ふーん、写真ないの?」
百目鬼「賢史の妹の写真はないな。賢史のなら、高校のアルバムに写ってるぞ」
マキ「見たい見たい♪」
はしゃぐ僕に、百目鬼さんは仕方ないなぁって顔しながら、僕の渡した四角いアルバム達の中から高校の時の物を取り出した。
百目鬼さんの生い立ちは、何度か聞いたけど、今、百目鬼さんに関わってる人たちといつ出会ったのか、いつ、奏一さんや修二に出会って恋したのか、僕はまだ聞いてない。
賢史さんとは、昔すっごいつるんでた仲良しだから今も続いてるのかと思ったけど、百目鬼さんと賢史さんが一緒に写ってる写真はなくて。賢史さんは、百目鬼さんと同じ高校出身だけど、アルバムの中では違うクラスに名前と写真が載ってた。
マキ「…これが賢史さん?」
百目鬼さんが見せてくれたのは、黒髪にメガネ、爽やかな優等生タイプの男の子、でも下の名前はちゃんと賢史さんになってた。
百目鬼「あぁ、あいつ成績優秀だったからな。不良の俺とはほとんど接点なかった」
マキ「本当にイケメンだ…」
賢史さんが元は良さそうな顔だっていうのは分かってたけど、ちゃんとした格好が出来るんだって少し驚いた。賢史さんのクラスの思い出写真には、どれも爽やかで活発そうな笑顔が素敵な少年時代の賢史さんの姿。
一体、いつからあんなモサモサになっちゃったんだろう…。
百目鬼「…、そんなに賢史が気に入ったのか。この頃なら年もお前とそんな変わらないな…」
ムスッと露骨に嫉妬する可愛い神さん♪、僕と年齢が離れてるのを気にしてて、渋い顔をした。
神さんてば、いつもいつもなんかある度に、僕のこと10も年下のガキだって言うもんね。
マキ「ふふっ♪むくれてる神さん可愛い♪僕はこのアルバムの持ち主の方が、大、大、大好きだなぁ♪」
百目鬼「ッ…」
僕がこういう風に言うなんて分かるだろうに、本気で照れてるから可愛いよねぇー♪
マキ「この頃の神さんに会ってみたいなぁ♪僕たちが同級生だったら毎日刺激的で楽しそう♪」
百目鬼「その刺激とやらが卑猥な響きにしか聞こえんが…」
マキ「やぁん♪神さんのエッチ♪♪」
百目鬼「アホが…」
呆れた神さんの大きな手が僕の頭を鷲掴む。
ちょっと痛いけど、最近こうして触れてくれる機会が増えたのがすごく嬉しくて。
前は言葉だけだった。エッチな僕を呆れて睨むように『それしばっかりだな』って。
僕が寂しくなるとSEXしたくなっちゃうって知ってから、その言葉は減って、頭を撫でてくれたり鷲掴んだり、相変わらず呆れ顔だけど、神さんの中で捉え方が変わったのか、気を使ってるのか、とても優しい。
言葉に出来ない百目鬼さんの大きな温かい手が嬉しくて愛おしい。
百目鬼「高校生の時の俺とは、会わせらないな…」
マキ「えっ?なんで?」
百目鬼「この頃は荒れてたから」
マキ「んふふ♪全然平気だよ♪、僕、暴れ馬に乗るの大得意♪♪」
百目鬼「ばぁーか」
マキ「痛っ」
神さんってば指の力入れすぎ。
パチンとデコピンされたところを両手で押さえて痛がって見上げたら、神さんはなんだか遠くの方を困ったような悲しい目をして見つめてた。見上げる僕の視線に気がついて頭をワシワシ撫でて誤魔化したけど、僕が見逃すわけ無い。
マキ「わっ、もぉー」
頭グシャグシャにされたけど、僕は、その手が、いつも言葉に出来ない声だと知ってる。
だから、思いっきり抱きついてぎゅうぎゅうに抱きしめてやる。
マキ「馬鹿なのはどっち?僕は、どんな神さんも好きだよ。たとえ昔の神さんだって、好きになった。だって僕が好きなのは神さんの心の真ん中の不器用で一生懸命なところだもん♪♪」
百目鬼「…おい、なんだそりゃ、不器用が好きっておかしいだろ」
マキ「んふふふふ♪、不器用で一生懸命なのがいいんじゃん♪♪、可愛くて可愛くて、こうして抱きしめて僕が全力で守ってあげるねって、高校の神さんにも言ってあげたい」
僕の腕の中で、何かを葛藤する神さんが唇に力を込めた。だけどその答えは、否定するように、僕の体を押しのける。
百目鬼「バァーカ。俺が高校生なら、お前は小学校低学年だろうが、どこに小学生に守られる高校生がいる。それを言うなら高校生の俺の方が守るんだろうが、どうせお前はいい子ちゃん気取ってヘラヘラして本音の一つも言えてねぇんだろ、俺なら引っ叩いてでも泣かして本音言わして、その後美味い飯作って…」
神さんの言葉が止まり、何かにガッカリしたように肩を落とした。神さんの瞳は、また困ったように悲しく虚ろう。
百目鬼「やっぱ無理だな…、あの時はまだちゃんとした飯は作れなかった…」
マキ「僕、神さんの作ったものならなんでも大丈夫だよ♪」
百目鬼「いや、本当にあの時は手伝い程度で、一からご飯作れるようになったのは、お袋に教わってからで…、あの時は、家族が増えたばっかりでまだ…」
神さんには、血の繋がらない家族がいる。
お父さんの再婚で、新しい母親とその連れ子7人。
神さんは、その家族と今、仲良くやってる。
でもそうだよね、いきなり兄弟が7人増えたら、確かに戸惑うよね。
マキ「神さんは、最初はお父さんの再婚反対だったの?」
百目鬼「いや、親父には必要だったと思う。…別に反対してたんじゃなくて、ただ…なんつーか、高校生にもなると関係無いって言うか、一人暮らししようとしてたからな…」
マキ「その話、もっと詳しく聞いていい?」
そっと抱き寄せると、神さんは困った呆れ顔で僕の胸の中に身を寄せる。
百目鬼「もう、何度も話しただろ…」
マキ「うん、お父さんが再婚して家族が増えたって、兄弟が7人できて、お母さんとお父さんの提案で生い立ちのアルバムを開いて思い出を共有したって。それは聞いたけど、神さんがどう思ったのか、どう感じて過ごしたのか、まだ聞いてない」
百目鬼「お前は馬鹿だな」
マキ「ふふっ♪、神さんが始めたんだよ♪、僕と思い出を共有してくれるんでしょ?」
百目鬼「………あぁ」
神さんの手が、僕の背中に回り優しく抱きしめ返してくれた。
甘えてくれる神さんは、めちゃめちゃ可愛い。
百目鬼「…じゃ、どこから話そうか…」
マキ「どこからでもいいよ、神さんの事ならなんでも知りたい♪♪」
百目鬼「…ふっ、後でお前の昔話もちゃんと聞かせろよ」
嬉しそうに瞳が細められ、僕に近づく、吐息がかかる至近距離で、神さんにそっと顎を持たれ、優しいキスをされた。
マキ「んぅ……」
神さんの少し荒れた唇を潤すように、そっと舌を這わせたら、神さんに甘く絡め取られて深く求めるキスに変わる。
マキ「…ぁ…じ…さ…」
キスだけで熱くなるからだ、このままじゃ、お話を聞かせてもらう前に溶けちゃう。
百目鬼「…気にするな、ちゃんと聞かせてやる」
あれ?あれれ?
聞かせてくれるって言いながら、いっぱいキスしてくる!!
百目鬼「俺の下でな」
マキ「ふえっ?!、ず、ずるッ…、ァア!!神さ…」
百目鬼「お前が悪い」
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