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アルバム絵本
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奏一さんを試そうと思ったわけじゃない…。
まぁ、ちょっとはどうなんだと思ったけど…。
だって…
だって…
奏一さんが、お兄ちゃんになんでも言いなさい聞きなさいって…。奏一さんは頭の回転の早い人だ、だから、僕が百目鬼さんと家族になれるか不安だと話した後に、〝お兄ちゃん〟って表現をワザと使ったと思うんだ。
だって、ドヤ顔だったもん!
マキのお兄ちゃんだよって顔してたもん!
そんなこと言われてどんな顔しろって?
僕のお兄ちゃんに…
僕の憧れるお兄ちゃんだった人に、お兄ちゃんだと思えって言われて…
やっぱドキドキしてこそばゆい!
だから、ついつい、誤魔化して試すみたいなこと言った。
奏一さんは一瞬顔を赤くしたけど、上目遣いする僕の何かに気がついて、表情がいつもの奏一さんに戻って、僕の頭を撫でた。
奏一「…本当に聞きたいなら答えるけど」
あれ?
ぶりっ子攻撃が効かない?
奏一「…もしかして、照れてる?」
マキ「!?」
奏一「表情が増えたと思ってたけど、前ほど作りきれてないというか、…自然なマキの表情を知っちゃうと、それは不自然に感じるな」
マキ「ッ、照れてない、本当に知りたいもん」
やっぱり、奏一さんは上手くあしらえない。
イイ子ちゃん修二と一緒に居ただけあって、そうゆうのを注意深く観察してきた人を誤魔化すのは厳しい…。
奏一「なら、お兄ちゃんが答えるけど。マキ、俺は結構モテるんだぞ」
マキ「うん、知ってる。だって凄くカッコイイもん」
それに、修二が、昔は彼女がいたって言ってたし。
奏一「女性に困ったことは無いくらいなんだぞ」
マキ「ふーん、でも、今は彼女いないんだよね」
奏一「今はっていうか、お店を立ち上げてからいないんだ、忙しかったからね」
マキ「お店を立ち上げる前はいたの?なんで別れちゃったの?」
僕は僕の気になることを聞いただけだったけど、奏一さんは頭の回転の早い人だ。なぜ僕がそのことを聞こうとしたのか、すぐに思い当たった。
奏一「…修二が、マキに頼んだの?」
おっと…。
流石奏一さん。修二に関するセンサー半端ない♪
でも…
マキ「修二は心配してたけど、別に頼まれてないよ。前に、奏一さんが、男同士の恋愛について頭を痛めてた時、誰か対象が居たようだったし。それにさっき来た夏さんって女性、奏一さんには行為があるみたいだったから、どうなってるのかなぁって僕が思っただけ…」
奏一「夏?!…参ったな…そんなバレバレな態度とるやつじゃないのに…、っ…、付き合ってはないよ」
付き合って〝は〟?
ってことは、デートくらいはしてるのかな?
奏一「それに、随分前のことを……あの時は…こんがらかってて…、マキにアドバイスもらって目が覚めた、あの話は、忘れて…」
マキ「…、僕には、素直になれだとか言うのに、自分のは無かったことにするの?」
奏一「違う…。その…」
マキ「なんでも聞いて、なんでも答えるって言ってくれたよね♪お兄ちゃん♪」
奏一「…あー…んー…、はい…」
マキ「ふふ♪」
さっきまであんなカッコ良かったのに、可愛くなっちゃった♪
奏一「…修二のことや、百目鬼のことでぐちゃぐちゃになってたってーのもあるけど…、…その…、修二のことで、ずっと相談に乗ってもらってる人に…、こ…告白されて…」
マキ「あやしゃん?」
奏一「!?」
マキ「あの時、奏一さん酔ってたから、ポロっと名前、呼んでたよ」
奏一「………………、…マジかぁ…」
カッコイイお兄ちゃんの顔が完全に崩れて落胆する奏一さん。
あぁ、そのあやしゃんって人も、奏一さんのこうゆうところ、抱きしめてあげたくなっちゃってんだろうなぁー。
奏一「…ッ、…他には…漏らして無かった…?」
マキ「……、他には何も言ってなかったけど、なぁに?告白してきたの、あやしゃんだけじゃないの?もしかして、羚凰さんにも言われた?」
奏一「ッ!?、どおして…羚凰…」
マキ「今日の羚凰さん見てたらねぇ」
奏一「はぁ…」
マキ「あれから、現在進行形なんだ」
奏一「……、いや…、ちゃんと返事はした。彩さんと羚凰には、断りを…」
マキ「ふーん。でも、好きでいさせてって言われたんでしょ」
奏一「ぐっ…、なんで…」
マキ「じゃなきゃ、奏一さん悩んでないでしょ。なぁに、あやしゃんってそんな気になる人なの?」
奏一「彩〝さん〟な。…、マキ、この話は断ってるから、弄り回さないでくれ…」
マキ「弄ってないよ。奏一さんがまだ悩んでるみたいだから、〝弟の僕が〟役に立てないかなぁって、別に無理やりくっつけたりしないよ。奏一さん気持ちが一番大切だし、僕は、彩さんって人知らないから」
奏一「…」
マキ「なぁに?僕を見つめて何を思い悩んでるの?」
奏一さんは、確かに男同士の恋愛について悩んでた。修二を理解しようとして、理解しようと思い悩むあまり、自分が男同士の恋愛できるかってなって、随分グルグルしてた。
でも、奏一さんの発言の端々と、表情の中に、気になるものがあった。
それが、何を示しているのか、気になるけど。僕は彩さんを知らないから、なんとも言えない。
奏一「……、いや、…、頼む、掘り返さないでくれ。彩さんや羚凰には、断った。だけど2人ともいまだに変わらなくて…」
マキ「…奏一さんが気に病む事ないよ。好きな人を好きだという気持ちは、そう簡単に無くならないし。良いじゃん、それだけ奏一さんが良い男なだけなんだから♪」
奏一「…そんな簡単に考えられない」
マキ「あはは♪簡単だよ♪。それに、羚凰さんは、今日会った感じ、奏一さんを大好き大好きってワンチャンみたいだったよ♪奏一さんに断られたからってへこたれてないし、奏一さんの気持ちを無視するワンチャンにも見えなかったな♪」
奏一「…」
マキ「彩さんの事は分からないけど、奏一さんがそれだけかにするんだ、良い人なんでしょ、傷つけたくない人、大事なお友達なんでしょ」
奏一「…あぁ、大事な人だ。俺が倒れそうな時、ずっと話を聞いてくれた、修二を守ってくれた…」
マキ「奏一さん、大事だからって、答えてあげなきゃって訳じゃない。その人は、そんな事言う人なの?」
奏一「いいや、……あの人は…、俺の気持ちを優先してくれる。……いつも穏やかに微笑んで、俺の事を考えてくれる。…俺が…、修二の事で参ってる事も全部ちゃんと分かってくれてて、無理強いはしないって。俺に彼女が出来も、結婚しても、お酒飲んで語らえたらそれで良いって……。羚凰が先走りそうになった時も止めてくれて、羚凰もバカだから、ちゃんと待てしてお利口なんだ…。2人とも、ちゃんと俺の気持ちを考えてくれてる…、だけど…」
奏一さんは、修二の事があるから、男同士の恋愛事情に悩む。
否定言葉にすごく躊躇するし、もし、奏一さんが男の人を好きになる事があったとしても、それも躊躇するんだろう。
…それだけ、修二を助け出す時に見た光景が、壮絶だったんだ。
マキ「…だけど、答えてやれない?」
奏一「…」
マキ「そんな悲しそうな顔しないでよ。2人がそんな奏一さん見たら、悲しむよ」
奏一「…ッ…」
マキ「…奏一さん、奏一さんは、2人の事があるから、彼女作らないの?」
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