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痛む
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そのあとのことは、ほぼ記憶にない。
アキラが甲斐甲斐しく俺の体を拭いてくれたような気がしたが、指一本まともに動かせるとは思えないほどの疲労に、あっさりと意識を手放していた。
*****
目覚めると、アキラの腕に包まれていた。身動きが取れない程に強く抱きしめられていて、抜け出すことを諦める。
まだ、起きるには早すぎる時間だし、何より身動ぎを加えただけで、下半身が鈍く痛む。
何もすることができず、ただアキラを眺めていた。
目を閉じていても、男前とわかる顔。程よく整えられた眉、スッと通る鼻筋、薄い唇。
第一印象で女にモテそうと思ったのは、本人も肯定したように本当だった。アキラ本人が何もしなくても、周りが放って置かない。
いつだったか、女二人に取り合われているところを目撃したこともある。
「なんで、俺なんだろ」
疑問が口からこぼれ落ちる。
特にこれと言って特徴もなく、アキラを楽しませる要素も思い付かない。趣味は合うが、そんな人間他にもいくらでもいるだろう。
疑問は不安を招く。俺でいいのか、アキラは何か勘違いをして俺を好きだと思い込んでいるだけじゃないのか。
思わず逃げ出したくなる程に、胸が締め付けられた。アキラの傍にいたい。でも、間違いだとアキラが気づいて他の人を選んだら?それでも、傍に居られるだろうか。
俺は、こんなにもアキラを愛してる。離れることを想像しただけで、息もできない。
薄く目を開いたアキラに、動揺していることを悟られないよう、いつもの口調を心がける。
「おはよう」
アキラは、少し眉をひそめながら問いかけてきた。
「後悔、してる?それとも、痛い?」
言われた意味がよく分からず、ぼんやりしていると、ふいにアキラの指先が頬を掠めた。
「泣いてる」
涙を拭われ、漸く自分が涙を流していたことを知る。いつの間に泣いていたのか、胸の痛みに気をとられ全く気付かなかった。
「後悔なんてしてない。そりゃ、痛いのは、痛いけど・・・」
「じゃあ、嬉し涙だ?」
思わず頬に赤みが指すのがわかるが、アキラが穏やかな表情に戻ってくれたので嬉しくて黙って頷く。
「痛いのは無理さしたからね、当然だわ。オレも手加減するつもりだったんだけどなぁ、まさかリョウがあんっなにエロいとは、さ」
エロいとか言われても、どうしたらいいのか反応に困る。俺は、初めてのことばかりだったのに。アキラにとっては、大勢の中の一人に過ぎないのだろうか。
「他の奴と比べるな、よ・・・」
俺は、嫉妬深かったらしい。アキラに他の奴と比べられるなんて、耐えられなかった。
「比べてるわけじゃなくて、オレが言ってるのは事実。初めてなのに、後ろだけでイけるなんて、よっぽどだぞ?まぁ、オレが上手いのもあるけど」
よっぽど、なんなのだろうか。いいのか悪いのか。比べられたわけではないようだし、まぁ、いいか。俺の髪を指先でいじくるアキラの満足そうな顔を見ながら、黙ってされるがままになっていた。
アキラの提案で、シャワーを浴びに行く。上手く歩けない俺を軽々と抱え上げ、風呂場まで連れていってもらう。
恥ずかしくて死にそうだ。同じ男なのに、あっさりと抱き上げられ、横抱きにされていることも、情けなくなる。
筋肉も脂肪もついていない俺の体は、軽いのだそうだ。人の体重なんて聞いたことないから、知らなかった。
風呂場に着いても離れないアキラの意図を察して抵抗するが、強引に一緒に入られる。今更か、とも思い諦めるが、先程までシーツにくるまっていた体を見せるのはやはり恥ずかしい。
恥ずかしがる俺をまたいつものニヤニヤ笑いで追い詰め、思い通りに扱うアキラを睨み付けるが、全く相手にされず。思ったよりも頭や体を動き回るアキラの手が心地好かったため、黙ってされるがままになっていた。
こんな幸せが長く続くといい。
ずっとこうしてアキラと過ごせるのなら、もう何もいらない。
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