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我が家#会長side
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夕食を食べて、リビングでジョセ吉とまったりしていると、母さんが隣に座ってきた。
そして、にっこりと微笑む。
「ふふ、薫、お父様に似てきたわねっ。」
「そうかい?まだまだ母さん似だって宗吉に言われるけどなぁ…」
「顔はね。でも、背格好が、男の子になったなぁ〜って思ったの。そうでしょ、ジョセ吉?」
母さんがそう言ってジョセ吉を撫でると、ジョセ吉は「ワン!」と吠えた。
僕はそういえば、と思うと時計を見た。
「父さん、遅いね。」
「そうねぇ。最近お仕事大変みたい。でももうすぐ帰るって、さっき電話があったわ。」
母さんがそう言うと同時に、チャイムが鳴る。
メイドさんがパタパタと出て行く音がした。
「ほら、もう帰ってきたわ。」
母さんはそう言って嬉しそうに笑うと、ゆっくりと立ち上がった。
そして玄関に行ってしまった。
玄関から、「おかえりなさい、あなた」「ただいま沙希ちゃん」と言う声が聞こえてきた。
相変わらず、仲が良いなぁ、あの2人は。
僕は思わず頬を緩ませると、ジョセ吉をわしゃわしゃと撫でた。
あー…ジョセ吉が宗吉だったら、何すんだよ、とか言うんだろうなぁ。
父さんはリビングに入るなり、僕を見つけると、「薫!おかえり!」と微笑んだ。
スーツ姿の父さんは、いつ見ても尊敬できる人だった。
「薫、元気にしてたかい?」
父さんは僕の向かいのソファに腰掛けて、紅茶を飲みながら尋ねる。
「うん。」
「生徒会長になったんだろう?文化祭とか大変だったろうなあ…」
「でも、楽しかったよ。生徒は皆僕に優しいし。あ、宗吉は副会長になったんだよ。」
「そうか。それじゃあさぞかし宗吉くんにはお世話になってるだろう。今度結城さんの所にお礼に行かなければ。」
本当は父さんが宗吉に僕のことを頼む、と言ったのは知ってる。
まあそのお陰で同じ高校に行けたからラッキーだったけとね。
母さんは「メイドさんがクッキーを焼いてくれたわよ〜」と言って持ってくると、父さんの隣に座った。
「そういえば薫。進路のこととかもう決めたの?」
母さんがクッキーを摘みながらそう言う。
父さんも「あ、そうだ。その話をしなければ」と思い出したかのように言った。
これがメインだと思っていたのに…忘れていたんだね、父さん。
「僕、検事になりたいんだ。だから、K大学の法学部を目指そうと思う。」
「K大学か!あそこは難関だが良い大学だ。」
「うん。…だから、父さんの会社には入らないよ。」
僕がそう言うと、父さんは母さんと顔を見合わせて笑った。
「ふふ、もしかして薫、そんなこと気にしてたの?」
母さんはクスクスと笑っている。
父さんも笑いながら言った。
「会社は悟が継ぐから全然オーケーに決まってるだろう。お前は三男なんだから、自由に決めなさい。自由に。」
随分軽く言われたので拍子抜けしてしまった。
父さんは更に続ける。
「それに、長男だから悟に後を継げって言ったわけじゃないぞ。嫌なら他でも良かったんだ。
けれどこの間、悟がいきなり社長室に入ってきてな、『父さん、貴方はクビです。俺が社長になります。』とか言ってきたから自分の会社なのに辞めさせられるってビビってしまったよ…」
兄さんならやりかねない……
兄さんの思い切った行動には、毎度驚かされる。
「それで、父さんはどうしたんだい?」
「会長くらいにはしてちょって言ったら良いよって。」
緩いなぁ…
僕は溜息を吐いた。
なんで兄さんがいきなりそんなことを言い出したか、父さんは知らないんだろうなあ…
僕は社員さんの写真をうっとりと見つめていた兄さんを思い出して、苦笑いした。
「まあ、そういうことだから、あまり跡継ぎの事とか考えなくていいぞ。お前は取り敢えず青春を謳歌しなさい。」
「うん。わかったよ。」
「恋バナとか聞きたいものね♡」
「母さん、男子校だよ。」
「あら、そういう世界もあるんでしょう??薫、学校のこと詳しく聞かせてくれない?」
「…。」
そういえば母さん、前からそういう本を読んでいたかもしれない。
にこにこと笑う母さんは、当分離してくれそうに無かった。
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