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(それにしても今日は一体どうしたんだろう。こんな所に呼び出して。)
この場所はある意味有名な場所だった。恋人同士でこのベンチに座れば二人は永遠に結ばれるとかいう明らかに胡散臭いジンクスがある。
だけど、ここが地元ではない佐木はきっと知らないはずだ。そんなところに呼び出されて。ほんの少しだけドキドキする胸。
自慰行為じゃないなら、何だろう。暴力か、お金か。でも、急いで来いと言われただけで何かをもってこいなんて言われなかった。
「なぁ、この近くにコンビニあるだろ」
「……ある」
「お使い頼まれてくんない?」
思わぬお願いごとに少し戸惑う。こういうのを多分パシリというんだろう。
「でも、僕、お金ないよ」
「んじゃ盗んでこい」
「だ、ダメだよそんなの!捕まっちゃうよ」
バレなきゃ良いんだよと佐木が笑う。
「そんなことしてまで欲しい物なの?もし僕が持ってるものだったら、なんでもあげる。盗むのは、ダメだよ」
「くれるって言っても、お前が持ってるわけない」
「何を?言わなきゃわかんないよ」
真顔で見つめてくる倉橋から目を背け、先程よりボリュームを少し小さめにして答える。
「モゴモゴ」
口ごもりながら言うので聞き取れなくて首を傾げて耳を寄せた。
「ごめん、もう一回言ってもらえる?」
佐木は周りに誰もいないことを確認して、今度は大きな声で叫んだ。
「めんどくせえな!ゴムだよ!ゴ・ム!」
何度も言わせるなと言おうとしたが余計恥ずかしい気がしてあわてて言葉を飲み込んだ。
「ゴム?」
倉橋は安心したように、ああ、何だそんなものか、と微笑んだ。
「持ってるよ、家にいっぱいあるよ」
予想外の反応に目を丸くする佐木。
「い、いっぱい?」
「うん。だからあげる」
「お前使ったことあるの?」
その質問にも、もちろん、というようにこっくりと頷く。
そして、人差し指で頬を掻きながら照れくさそうにそんなに驚くことかなぁと呟いた。
「だって、輪ゴム、でしょ」
その一言に佐木は黙り込んでしまった。
わざと間違ったフリをしているようには思えない。輪ゴムだと本気で信じ込んでいるみたいだ。
佐木は、大きなため息をついたあと、ちょいちょいと手招きをした。
そして近くにきた倉橋の耳元に唇を寄せる。
「輪ゴムじゃない。コンドームだよ」
そう言ったあと倉橋の顔を覗きこむと、真っ赤になっていた。それを見て一応意味は解るんだなと確信した。
しかし顔を真っ赤にした直接の原因は、佐木の吐息が耳に当たって恥ずかしかったからだという事を、佐木は知る由もなかった。
「わかったなら早くとってこい」
ここで待ってるからさ。そう言い、佐木はスマートフォンを取り出しその画面を倉橋に見せつけた。
「こんな写真、誰かに見られたら、居場所ないだろ?」
慌ててそれを奪おうと手を伸ばしたが、軽々とかわされてしまった。
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