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幸せ②
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次の日。
朝起きて、学校へ行く。
その行動だけを見ると、いつも通りで何も変わらない日常に思えるけれど、今日はまるで違う。
何が違うって、憂鬱のはずの学校がこんなにも楽しみなのだ。はやく学校へ行って、はやく佐木に会いたい。
倉橋が早めに登校したところで、佐木がくるのはもっと後なのだが。それでもいい。まだ会えなくても、彼を待っている時間すら、幸せなのだ。
急いで教室へ向かって、佐木の姿を探す。当たり前だけどまだ来ていない。
幸せなため息をつきながら、自分の席に座り、昨日の事を思い出す。
二人でベンチで食べたうまい棒。
今まで食べた中で、昨日のが一番美味しかった。無理やり口に突っ込まれたのだけれど、今思えばあれは、ちょっと手荒なアーンなのだ。そう考えたら体中がゾクゾクした。
そして、またなと手を降る佐木の後ろ姿。その時の言葉を頭の中で何度もリピートして、今日も会えることを信じて待っていた。
佐木との距離がぐんと近づいた、特別な日だった。あの日の夜、嬉しくて嬉しくて、何回も思い出していたから、あまり眠れなかったほど。
そのせいか今更眠気がやって来る。
(はやく、サキくんこないかな)
頬杖をつきながらぼんやり窓の外を見る。校庭には登校する生徒が見える。その中に金髪の頭は見当たらない。
朝の光が教室へ差し込んでいて室内は少し暑い。ムシムシして寝苦しい筈なのに、眠気を抑えられなくてゆっくりまぶたを閉じた。
あと数日で夏休み。
(今年の夏は、何か良いことあるかなぁ)
佐木が居れば、叶う気がした。根拠は無いけれど。
教室内は、倉橋以外にも他の生徒が続々と増えてきてその声や、ざわめきを耳で感じる。
佐木はまだ来ない。
でも、絶対に会える。待ってる。
自慢の金髪頭に寝ぐせを付けて、やる気なさそうに歩いてくる佐木の姿を想像しながら、いつの間にか眠気に負けてしまい倉橋はゆっくりと俯せた。
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