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おれは、マスターに全てを話してしまった。話している途中に何度も泣いてしまって、話し終わるころには窓の外は真っ暗になっていた。
「…そっか。そんなことしてんのね。幸くんは。」
「あの、いや…えとおれが勝手に傷ついてるだけなんで…」
「理汰くん、だめだよ。そんな考え方。…ちょっと待ってて」
マスターはカウンターの奥に入って行った。そしてしばらくして、手にふたつコップをもって戻ってきた。
ひとつはおれの手元に。もうひとつはマスターの手元に。
コップの中身はカフェオレだった。
「あ、ありがとうございます」
「どういたしまして。えーと、あのね、理汰くんは何も悪くないから。まず、それは分かってて」
「へ?」
いきなり、マスターの目が真剣な色に変わった。
「幸が悪いよ。全部。出来れば早く話し合った方がいいよ?」
「は、話し合う…」
「今のままじゃだめだって、理汰くんもわかってるんじゃないの?」
確かに、そう思ってる。でもどうしたらいいか全然分からない。話し合うって言ったって、何を?
浮気しないで、って?そんなのおれ、重たいヤツじゃん。嫌われる。
「こら、考え込まない」
「いたっ…」
ぐるぐる考えていたら、デコピンされた。
「幸に会ってみて、泣きたくなったら泣く。言いたいことは全部言う。どうするかはそれからだよ」
「だ、だってそんなの、重たい…」
「それだけ好きなんだからしょうがないの」
「!」
しょうがない、の?
「好きになったらそれだけ気持ちが大きくなるんだから、重たいのは当たり前。気持ちを隠すのは、良くない」
「よく、ないんですか…?」
「良くないっていうか、そんなの付き合ってる意味なくなっちゃうよ」
「そ、そうなんですか?」
びっくりしすぎて、思わず声が大きくなる。
だって、おれが我慢すれば、うまくいくって思ってたから。
「我慢するのも、限界があるでしょ?それに本音も話せないような恋人なんて辛いだけだよ」
マスターの言葉ひとつひとつがおれの気持ちを軽くした。
でも、同時におれと幸くんは…というかおれは、我慢ばっかだし。付き合ってる意味ないな…って思ってしまう。一度だって幸くんは本音らしきものをおれに言ったことがない。あ、でも重たいって言ったのは本音か。
「おれたち…付き合ってるっていうんですかね…」
根本的な事が疑問に思えてくるって、壊滅的じゃないかな?
「幸に付き合おうって言われたんでしょ?」
「そ、そうですけど…なんか我慢とか、辛いばっかりで…」
「んー。辛いばっかりなのか」
「……はい」
マスターは少し考えるような仕草をした。これ、言っていいのかなって感じで。
「じゃあさ?」
しばらくしてやっと口を開いた。
「終わらせちゃえば?」
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