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「あの…えと、すみません…」
マスターの迫力ある声と目力に思わず謝ってしまった。
ていうか、まてまて。男でも危ないってどういうことだ?襲われるとか?いやいやまてまて。そんな悪趣味な人いないでしょ。いくら女顔っていったって別にかわいいわけでも美人なわけでもないし…
って。
何こんなこと考えてんの。
一人で泣こうと思って帰ろうとしたんじゃん。
ここで流されちゃだめだ!
「でもおれ、1人になりたいんです…いろいろ…あのなんというか落ち着いて考えたいこととかもある、し」
…結局弱々しくおどおど感満載な口調になってしまった。
しかも俯いちゃったし。情けない…
おれ、ほんとだめだ。1人になりたいとか言っといてまた泣きたくなってきた。
「…理汰くん、考えたいとか言って1人で泣くんでしょ。」
マスターの、また優しくなった声がすぐ近くで聞こえた。あれ、こんなに近くにいたっけって思ったら頭に暖かい、重みを感じた。
あー、また、頭撫でてくれてる。
泣いちゃうだろ。
男と別れて泣いてる男を、こんなに優しく扱ってくれる人なんているのか。
普通引くでしょ。何で撫でちゃうの。優しくしちゃうの。
「ま、マスター…」
「ん?」
「も、やめて、くださ、」
「あ、やっぱり頭撫でられんの嫌か」
「ち、がいますっ…そんな、っことされたら、おれっ……」
もう号泣しちゃって言葉がでない。
「……いいよ。頼っても、甘えても。」
「!」
マスターの声が、なんか、じわっと心に響いた。
どうしよう。そんな事いわないでよ、まじで。
「理汰くんのこと見てると、ほっとけなくて世話焼きたくなっちゃうんだよね」
甘えてしまう。頼ってしまう。
いや、一番まずいと感じたのは、
弱ってるからか、なんでだか知らないけど、あろうことかマスターにときめいてしまうことだった。
まだ、胸は痛いし幸くんのことを好きなのは1ミリも変わってない。でも…頭を優しく撫でてくれる手が…すごく気持ちよくて。
おれは涙が止まるまでそのまま撫でられていた。
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