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死が二人を分かつまで~パラレルペダルT2~R18腐二次創作T2その愛と死
帰還~腐二次創作弱虫ペダル小野田/手嶋目線
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髪を染めてあげた。
本人じゃないからうまく出来なくて、のっぺりした緑になってしまった。
本人がすると、青とか赤とかビミョーな色が混じっててめちゃめちゃかっこいい。
足してくれる…かな…
染料よけを外してたら、
「小野田…」
名前呼んでくれた。
すごく小さい声だったけど、こっち見ないでだったけど、僕嬉しくて涙出た。
「巻島さん」
細い手が、僕に伸びてくる。
髪をくしゃっとやってくれた手に、そっと触れる。
生きて戻ってきてくれた。
それだけで充分だ。
浅倉医院の特別室の前廊下に、俺と東堂さんがいる。
「とびこんでって騒がないんすね」
「俺を何だと思っている。トークも切れて山も登れる、天は俺に」
「三物を与えたのは知ってますが、デリカシーは貰ってないんだとばかり」
「手嶋純太君。君はいい奴だが、ときどき果てしなく無礼だな」
顎を上げたいつもの姿勢で、俺を指差す東堂さんだが、すぐに柔和な表情に戻った。
「今回のことは本当に感謝しているよ。よくウチに連絡をとってくれた」
「何かの雑誌で昔読んだんすよ。各国のお偉いさんが足繁く通う名湯。天下に名ただる東堂庵!」
「けどアチラの女王様がファンとは、俺も全然知らなかったぞ」
「俺もです」
「え?」
東堂さんは完璧間抜けな顔つきになったが、すぐ笑顔を取り戻し、
「さすがは総北にその人ありと言われた策士手嶋。この東堂尽八、今日のところは脱帽としよう」
ガハいと笑った目の奥に、何やら光る物を見た。
「ありがとう」
手を握られた。
青八木。
俺、何とかやれたよ。
でもな、やっぱり淋しい。
もしここにおまえがいてくれたら…俺は…
病室の引き戸が開いて、花瓶をかかえた小野田が出てきた。
俺たちを見てあっとなり、中へ戻りつつ叫ぶ。
「巻島さん! 東堂さんと手嶋さんですよ! あっ!」
ガラガラガッシャーン!
東堂さんの永遠のライバルは今、水と、花と、花瓶のカケラにまみれている。
それを見て、まず東堂さんが笑い、俺が笑い、困ったように巻島さんが笑った。
「水もしたたるいい男っショ」
このショがどのくらいぶりに出たかなど、知るよしもない俺たちだったが、今目の前にあるその人が、かけがえのないものだとは知っている。
青八木…おまえのように。
笑いが涙に変わる前に、俺はその場をそっとあとにした。
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