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僕の初挑戦
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「アズマ、本当に大丈夫?」
「大丈夫だって。無理とかしないから。ね?……じゃあ、いってきます。」
いつもとおんなじ朝。でもちょっと違うのは、母さんがすごい心配してること。学校に行くだけなんだから、そんなに心配しなくてもいいのに。
まあ、無理もないよね。
僕、もうすぐ死んじゃうわけだし。
心配しすぎて泣き出した母さんを宥めて、僕は家を出た。そしてそのまま、いつもとおんなじスピードで歩き出す。
あ、猫だ。可愛い。
へぇ、あの川って、鯉いたんだ。
いつもと変わらない景色が、途方もなく綺麗に見えた。
もうちょっと早く気づけていれば、僕の世界はもっと変わっていたのかな。
今さらそんなこと考えても仕方ないのに、そんなことばかりが頭の中を回っていた。
「……あ、着いた。」
いつも一緒に学校に行ってくれる人。
僕の親友、西田瞳(ニシダヒトミ)の家。
──あ、男だからね?
ヒトミは、凄いいいヤツ。お人好しで、優しくて、頼もしい。運動神経もよくて、勉強は苦手だけどなんでかクラス委員をやっている。いわゆるクラスの人気者ってやつだよね。かっこいいし。
そんなヒトミには好きな奴がいる。流石に名前は教えてくれなかったけど、3年くらい前からずっと好きなのに全然告白してないらしい。まぁ、無理もないか。
それ、僕だもんね。
みんなには天然って言われるけど意外に目ざとい僕にはわかった。でも、3年間も好きでいられるのは正直凄いと思う。
あと、この関係が壊れたら怖いっていう気持ちも良く分かる。
でも、僕が死んで、「なんで告白しなかったんだろう」とか後悔はさせたくない。
告白するシチュエーションさえ作れば、男らしいヒトミは絶対に告白してくると思う。今までは、さりげなく僕がセーブしてきちゃったから。
なんとかそういう雰囲気に持っていければいいんだけど。
なんでもないふりをしながら、ヒトミの家のインターホンを押した。
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