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僕の幸福理論
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ヒトミside
本性を出したアズマは、今まで繕ってきた自分を全部捨てた。
優しくて、
暴言なんて滅多に吐かなくて、
人を馬鹿にするようなことも絶対に言わない。
それは、俺が今までアズマだと思ってきたモノで。
本当のアズマのことは何一つ知らなかった。
嘲笑的な笑みも、
確実に心をえぐっていく言葉も、
何一つ、知らなかった。
どこかに残っていた希望も、あっさり壊されて。
それでもまだ、アズマが好きだった。
でも、アズマにとって俺は遊びで。
そう思う度に、悲しくて悔しくて涙が止まらなかった。
そんな自分が、嫌いになった。
そんなのまるで知らないというように登校しているアズマに腹が立った。
アズマの胸ぐらを掴んで思いっきり殴った。
なのに、まるで自分を殴ったかのように胸が痛む。
なんで俺が。
なんでお前が。
なんで俺は、お前なんて好きになったんだ。
「……お前を好きになんて、ならなきゃよかった。」
他の奴を好きになってれば、こんな思いしなくて済んだのに。
どうしたって、俺はお前が好きなんだ。
アズマになにをして欲しいかと聞かれたから、消えて欲しいと言った。
どっちかがいなくなれば、俺がお前を好きだったという事実が消える気がした。
楽に、なりたかった。
その言葉が、アズマにとってどんな意味を持つのかも、
アズマがどんな思いで学校に来てるのかも、
俺は何も知らないままだった。
分かったと言ったきり何も言わないで教室を出ていったアズマを、俺はただ見送った。
いつもと様子が違うことにも、気づかなかった。
その後すぐに、学校に救急車が入ってきた。
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