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悪質な悪戯。
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合宿での誤解がなんとか解けてから数日。
春高の予選が近くなり、全員に緊張感がじわじわ出てきているのがわかってくる頃だ。
今現在も赤葦となんら問題なく付き合えているが、なるべくバレーに集中しようということで思い切り恋人っぽいことができる時間が減った。
0というわけではないが、やはり減るのは精神的にキツいものが少なからずある。
そう決めた日、赤葦から「9月30日、絶対に空けておいてください。」とも言われた。それを糧にしてバレーに打ち込もうと思えた。
「9月に入ったけど、やっぱまだあっちーなぁ…」
「そうですね…」
部活中、ドリンクを片手に体育館の出入り口に赤葦と腰を掛ける。思い切りベタベタできなくても、2人きりでなくても、こうして他愛ない話をできるだけで嬉しいのだ。
こうして同じ時間を過ごせるのはあとどれくらいなのだろうか。そんなことがたまに頭をよぎるようになった。
「木葉さん、今日髪くくってますね。」
「え、あ、おお、ちょっと長くなってきてな。雀田に借りたんだ」
今日の木葉さんはいつもと雰囲気が違った。髪を下の方でくくっているだけでこんなにも色香が増すとは。しかもそれを助長させるかのように程よい雫が額から首筋まで伝っている。ここで、ちょっと悪戯をしてみようと思った。
「あの、ちょっとここ…」
「ん?」
木葉の首筋に止まったままである雫に人差し指で優しく触れ、そのまま下につーっとなぞった。
木葉さんは首筋とか弱そうだな、と勘が言ったのでやってみた悪戯。さて、木葉さんはどう反応するだろうか、と思った瞬間。
「ひあぁっ!?」
想像より遥かにエロ…色っぽい声が木葉さんの口から漏れた。というより漏れてしまったのだろう。しかも結構大きな声。みんなワイワイ騒いでいた声が一気にシン、と静まり全員が木葉の方へ視線がいく。
木葉さんはみんなに背を向けていても視線が伝わっているようで顔が真っ赤っか。多分、今までで1、2を争うレベルの赤さ。まさかこんなことになるとは赤葦も予想外だったのだ。そんな気まずいような変な空気を早く断ち切りたいのか、木葉さんが第一声を発した。
「あっ…かぁぁぁあぁぁしぃぃぃぃ!!!お前、変なことすんなよ!!!」
かなりご立腹のようだった。俺の予想ではお前なにしてんだよ、と笑って返されると思ってたくらいなのだから。
だがこれはこれでむしろすごく良い…いやこんなことをいうと更に怒りを助長させることになると判断し、早急に怒りを鎮めてもらう方法を考える。
「まあまあ、俺は無邪気なイタズラのつもりでやったんですよ。まさか俺もそんな声が出るとは思ってなかったので…」
「無邪気なイタズラァァ!?悪質だろ!!」
「はいはーいそこのお2人さんやめな〜あと木葉さっきの声やめてね〜キモいよ〜」
白福が喧嘩に発展しそうだったのを手を叩いて仲裁する。ついでに木葉のいじりも含めて。
「木葉って日中からそんな声出すやつだったんだな…」
「うわー淫乱木葉〜〜」
白福が言い出したのをきっかけに、次々といじられる木葉。さっきのシーンとした空気が続くよりは今みたいにいじられて軽い雰囲気になったことに一安心する。そうでなければ居た堪れない。居た堪れなすぎる。ありがとう白福、と心の中で密かに言った。
「うるっせーなぁ、俺だってあんな声出したかねーよ!!」
「まあ、俺としては聞けて良かったですけど。」
ぼそっと俺にだけ聞こえる声量で呟いた。もちろんアイツ。赤葦。お前はなんなの?タチ悪いなオイ。
ここで変に言い返すとまた拗れそうだったので聞こえなかったことにした。
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