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違いとは。
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「あの、木葉さん。」
「ん?なに?」
下校途中、隣にいた赤葦が問いかけた。
「唐揚げと竜田揚げの違いって…なんなんですか?どっちも同じ…ですよね?なのになんでそんなに竜田揚げにこだわるんですか?」
赤葦は一切煽りの無い、至って真顔で質問してきた。
悪気はない。そうと分かっているのだが、木葉にとっては竜田揚げを侮辱されたも同然なのである。
聞いた瞬間、木葉は目を見開いて早口で答え始めた。
「お前本気で言ってんのか!?全然違うからな!?マジで!!」
「まあまあ、落ち着いてくださ____」
「これが落ち着いてられるか!!まさか鶏肉を揚げてたらどっちも同じと思ってんのか!?いいか?まずな、唐揚げは小麦粉、竜田揚げは片栗粉を使ってんだよ!だから食感が____」
まずい、明らかな地雷を踏んでしまった。と赤葦は後悔するが遅かった。まさか竜田揚げでこんなに熱弁が繰り広げられるとは思いもよらなかったのだ。それだけ竜田揚げが好きなのだろう。
「分かりました、木葉さんが竜田揚げを好きなのはよく分かったんで…」
「絶対あしらってるだろ!」
「もー…じゃあ竜田揚げ奢ります。だから機嫌なおしてくださいよ。」
「えっ?マジで?ラッキー!…って言いたいとこだけど、流石に後輩に奢られるのは素直に喜べんわ…」
「いや俺がそうしたいだけですから。そこのコンビニのでもいいですか?いいですよね。」
「あっ、ちょおい!俺の意見は!?」
竜田揚げを奢ろうと思ったのは機嫌をなおしてほしいからというのもあるけど、木葉さんが竜田揚げを食べたときの幸せそうな顔が見たいから、という理由もあったりする。
だからここは素直に竜田揚げを受け取って食べてほしい。
「えー…マジでいいの?」
「だからいいですってば。気にせずどうぞ。」
「じゃーいただきます。……ん〜やっぱ竜田揚げ美味い〜〜!!」
木葉はふにゃりとした顔で竜田揚げに舌鼓をうつ。
俺はその顔が、心底愛おしいのだ。
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