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サクリ、サクリと境内に敷かれた白い玉砂利を踏んで。
三日月は、木陰で昼寝をする暁丸のもとへと歩を進め、微笑みを浮かべてそのあどけない寝顔をのぞきこんだ。
「……ん? なんか用か?」
「ああ、ごめんよ暁丸、起こしてしまったかい?」
「いや、別に、今起きるとこだったし」
暁丸は、ヒョイと身軽く身を起こして三日月を見上げた。
「で? なんか用か?」
「いや、別に、特に用はないんだ。ただ、君が昼寝をしているのを見て、気持ちよさそうだな、と思ってつい来てしまった」
「ああ、ここ、風が通って気持ちいいぞ」
「ほんとにそうだね」
三日月は、涼やかな笑みを浮かべながら、暁丸の隣に腰を下ろした。
「……ここは、静かだな」
暁丸は、ポツリとそうつぶやいた。
「うん、そうだね」
三日月は、穏やかにそうこたえた。
「静かなのは、退屈だ、って、ずっと思ってたんだ、俺」
暁丸は、再びポツリとそうつぶやいた。
「でも――ここは――なんか、いいな、って、思うんだ、俺――」
「君がそう思ってくれるのが、私は本当にうれしいよ、暁丸」
「……なあ、三日月」
「なんだい、暁丸?」
「おまえが、俺の産まれた場所に行ったら」
暁丸はその金の瞳で、三日月の緋色の瞳をジッと見つめた。
「おまえ、そこのこと――好きに、なる、かな――?」
「きっと、好きになるよ」
三日月は、暁丸の視線をしっかりととらえ、にっこりと笑った。
「君が産まれた場所なら、きっと好きになるよ、私は」
「……そっか」
暁丸は、ポツリとそうこたえ。
そのまましばらく、三日月と共に、木陰で風に吹かれていた。
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