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「たぶん、しばらくは孕まないよ」
穏やかに、和やかに、だが熱っぽく、暁丸とじゃれあいながら、三日月はおっとりと言った。
「私の力は、この子のほうへ大分行ったから、また体に力が溜まるまで、睦みあいには支障はないだろうが、孕むことはしばらくないと思うよ」
「ふーん、そんなもんか?」
三日月のなめらかで平らな胸に顔をこすりつけながら、暁丸はきょとんと言った。
「村の女の人達も、産まれた子供に乳をあげているあいだは孕みにくくなったりするそうだし、そういうことは、たぶん結構よくあることなんじゃないかと思うよ」
「ふーん、なるほどなあ」
「まあ、別段、こういうことをするのにはなんの支障もないけど」
三日月はのどを鳴らして笑いながら、暁丸の頭の天辺、そして額に愛しげに口づけた。
「支障があったら、俺、ちょっと困るなあ」
暁丸はそう言いながら、三日月の紅い唇に口づけを返した。
「ちょっと、かい?」
三日月はからかうように笑った。
「いや、ちょっとじゃねえな。すっげえ困るな」
暁丸は、素直に、真摯にそう言いながら、三日月の首筋に軽く歯をたてた。
「三日月」
「なんだい?」
「俺が雌になったら、すぐに子供つくれるかな?」
「え? それは――まあ、私の男の部分はまだ、すっかりなくなったわけじゃないから出来なくもないと思うけど――でも、暁丸、君、雌になることが出来るのかい?」
「わかんねえけど、おまえが俺に突っ込んで精を吐き出しゃなんとかなるんじゃねえの?」
「しかしね、暁丸」
三日月は、ク、と眉根を寄せた。
「君は、その……なんというか、ええと……こ、興奮した時に、その……男根を勃起させずにいることが出来るのかい?」
「へ? えーっと……いや、俺、おったたせねえように我慢することなんか一度もしたことねえからな……」
「もしもそれが我慢できないのだとすると、なんというか、その……私の男根が君の体の中に入る、余裕だか隙間だかは、どう考えてもこれっぽっちもありはしないのだが……」
「あ……そ、そっか……」
暁丸はカクカクとうなずき、次の瞬間不思議そうに首をかしげた。
「なあ、三日月、おまえは、でっかくなるの我慢するのが上手なのか?」
「え!? い、いや、別に、そんなに上手でもない、と、思うが……」
「でも、俺、楽に入れられたぞ?」
「それは、その……私の雄より、君の雄のほうが、ずっと強かったから、その……」
「ああ、そっか、あっさり押し返せたのか」
暁丸は、それこそあっさりとそう言い放った。
「ああ、うん、まあ、そういうことだね」
暁丸のあまりの屈託のなさに、三日月は、どこか優しく苦笑した。
「俺、今のところ、興奮したら本性隠すことも出来なくなるしなー」
暁丸は、ちょっと口をすぼめながらそうぼやいた。
「お互いに本性丸出しにしてヤるっていうのも、いつかやってみたいけどなー」
「私は別にかまわないが、しかし、それをするとしたらどこか適当な場所を見つけておかないとね。村の中や村のそばで私達がそんなことを始めたら、みんな驚いてしまうから」
「ああ、うん、人間はびっくりするだろうな」
暁丸はおとなしくうなずいた。
「じゃあ、今のところはそれはなしでいいや。俺、人間の格好してるおまえも好きだし」
「それは、どうもありがとう、暁丸」
「蛇には、手も足もないのにな」
暁丸は、三日月の、すんなりと伸びた白く細い手足を撫でさすりながらクスクスと笑った。
「うん、だから私も、人間の姿に化身することを覚えたばかりのころは、どうにも不思議な心持がしたよ」
三日月もまた、楽しげにクスクスと笑った。
「綺麗だな。すべすべして、気持ちいいし」
三日月の身体で戯れながら、暁丸は無邪気に笑った。
「君も、とても綺麗だよ、暁丸。君の体に触れていると、体の芯までぬくもるよ」
三日月もまた、暁丸の身体で戯れながらうっとりと笑った。
「なあ、三日月」
「なんだい、暁丸」
「入れないからさ、人間の格好したおまえの体中、舐めたり撫でたり噛んだりしていいか?」
「私も君に、同じことをしていいのなら」
「ああ、そりゃもちろんかまわねえよ」
「だったらどうぞ、好きなようにしておくれ。私のほうも、好きなようにするから」
「ああ」
暁丸は、目を輝かせながらうなずき、ペロリと赤い舌を出して三日月の鼻の頭をなめた。
「人間の体は楽しいね」
三日月は、白く細い腕を伸ばして暁丸の紅く硬い、短い髪をクシャクシャとかきまわした。
「手足があると、本当にいろんなことが出来る。人間の姿というのはどうも、睦みあうのに大変都合よく出来ているようだ」
「俺は、蛇の格好したおまえも大好きだけどな」
「ありがとう。私も、竜の姿の君も大好きだよ」
三日月と暁丸は、どちらからともなくコツリと互いの額をぶつけあって楽しげな笑い声を漏らした。
「でも俺、ほんと言うと、竜の格好してる時に他のやつがそばにいるとちょっとおっかねえんだ。だって――本性むき出しの時だと、俺――その気もねえのに他のやつのこと、つぶしちまったりブッ飛ばしちまったりブッ壊しちまったりするから――」
暁丸は、その金の瞳をわずかに陰らせてそうつぶやいた。
「君はほんとに――本当に優しいんだねえ、暁丸――」
三日月はそう言いながら、暁丸の若い、まだ幼ささえをも残している少年の体を抱きしめて、暁丸の頭を優しく撫でた。
「優しいっつーかな」
暁丸は、不思議そうに首をかしげた。
「俺が竜でも、死んじまったやつらはさすがに生き返らせたり出来ねえからな。だから、うん――自分じゃどうにもなんねえことを、うっかりやっちまったりすんの、やなんだ、俺」
「その気持ちは、なんだかとてもよくわかるような気がするよ」
三日月は、フッと、色のつかない吐息を漏らした。
「――暁丸」
「なんだ、三日月」
「今の姿なら――私達は互いを『その気もないのに』死なせてしまうようなことはないよ」
三日月は、暁丸に向けて、その白く細く形のいい両腕と、なめらかな柔肌の下に脈々と鼓動を刻み続ける胸とを広げた。
「だから、ねえ――安心して愛しあおう、私達」
「うん――そうだな。今の格好だったら、大丈夫だな」
暁丸はホッとしたような笑みと共に、素直に三日月の胸に抱かれた。
「三日月」
「なんだい、暁丸」
「だから――だから、俺らのガキを人間の赤ん坊の格好にしておくんだな。生まれたばっかりのチビが、うっかり取り返しのつかねえことしちまわねえように――」
「ああ、その通りだよ、暁丸」
「やっぱ、おまえ、頭いいな」
暁丸はどこか誇らしげに笑った。
「産まれてくるガキも、おまえに似て頭がいいといいな!」
「君に似たって頭がよくなるさ。君に似て、強くて、優しくて、頭がよくて、元気な子が産まれてくるといいな」
「ふーん? 俺は、おまえに似てるガキのほうが可愛くていいと思うけどなー」
「いやいや、君に似ている子供だって可愛いに決まっている」
「ふーん、そっか。じゃあ、どっちに似てても万々歳だな!」
「ああ、どっちに似てても万々歳だ」
楽しげな笑い声と共に、暁丸と三日月の体が、互いにトロトロと絡みあい、緩やかに戯れあい始めた。
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