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お酒は、滅多に飲まない。
苦手なわけではないが、もう何年も飲んでいない。最後に飲んだのは、確か編集社のパーティーだった気がする。
すぐに気持ち悪くなって、退場、帰宅した。
「悠、無理するなよ」
「大丈夫。少しずつだから」
雅斗さんと斉藤さんは、既に3本は飲んでいる。私はまだ一本目。
「しっかし、伊東の彼女が男だったとはなぁ」
「俺は、彼女とは一言もいってないからな」
「否定もしなかっただろうが」
斉藤さんはすっかり顔を赤くして、意識はしっかりしているようだが、さっきから焼き豚ばかりを口にしていた。
「あの、水持ってきましょうか?」
「ん? じゃあお願いしようかなー」
「はい」
ソファから立ち上がろうとして、隣に座る雅斗さんに腕を引かれた。
「いいよ、俺が持ってくる」
「あ……うん」
まだ少し顔が赤いだけで、立ち上がる姿も全くふらついていない雅斗さんは、お酒に強いらしい。
この際、聞いてみようか。
「あの、斉藤さん……」
「はいはい? なんですか??」
「えと、雅斗さんと同棲しているのが、私(男)だってこと……」
内緒にしてもらえますか?
もし広まってしまったら、雅斗さんが会社を辞めないといけなくなってしまうかもしれないから……
斉藤さんは内容に驚いたのか、一瞬目を見開いてから笑った。
「だいじょーぶだよお。言い触らしたりしないし、伊東がいなくなったら、会社もたのしくなくなるからねー」
「あ、ありがとうございます……っ」
よかった。
そっと、胸を撫で下ろすと、頭に手が置かれた。
「あの……?」
「伊東がゲイだったのは驚いたけど、おれは別に偏見とかないからねー安心して?」
ぱちん、と斉藤さんはウィンクした。
「おい、斉藤」
背後から、雅斗さんの低い声がした。
「人の恋人口説いてんじゃねぇよ」
「心外だなぁ、もー」
「それと、悠」
低い声が、一瞬にして普段の声色になる。
「別に俺は悠と付き合ってることを、周りに行っても良いんだよ。周りがなんと言おうと、俺は悠がいいんだからな」
「う、うんっ」
「ひゃあー熱々だねぇ。もし結婚式挙げるんだったら、呼んでねぇ? スピーチしてあげるから」
「遠慮する」
「ひどー」
斉藤さんは、きっといい人。
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