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☆これから……
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行き先なんか決まってないけど、とりあえず足を進める。
これから、どうしようかな……
住むところなんか決めないで出てきちゃったからなぁ……いつまでも…いるわけにはいかなかったから……。
荷物を詰めたバックの持ち手をギュッと掴んでスタスタと無言で歩いていた。
帰る場所………無いんだよな……
俺の両親は県外に仕事行ってる。ここが地元だが、転勤が決まってからは父さんと母さんは県外に二人暮らしだ。
転勤が分かったのは、俺の高校合格が分かって すぐのことだった。
両親についていくって選択もあったけど……折角 受かった高校だから転校はしたくなかったし新しい環境は気が引けた。
姉ちゃんは一人いるけど その時には姉ちゃんは仕事していて、その仕事先は県外だった
だから俺を心配して何としても連れていこうとした両親を説得し、何とか俺だけはここに残った。
それから毎月、アパートの家賃や食費など仕送りしてもらっていた。
蓮と一緒に暮らしていると言うと、「友達と一緒なら安心だし、家賃代も浮くわ~」と賛成してくれた。
………恋人って事は言えないで終わってしまったけど……
それでも連休や長い休みには俺が会いに行ったり両親が あのアパートに会いに来たりしてくれていた。
俺が言うのもなんだけど息子思いの良い…自慢の両親だと思う…。
だから……なるべく迷惑はかけたくない……
今日はホテルに泊まるとして…明日から夏休みだからアパート早く決めておくなくちゃ……
……父さんや母さんにも…言っておかないとな……
あのアパートには、俺はもういないこと……
とりあえず、ここから近くて安いホテル探さないと……
スマホで調べようとポケットに手を突っ込むと、コツンと指先に何かが触れた。
あ…………。その何かを取り出すと、思った通り…ペアリング……
思わずポケットに突っ込んどいたんだった……
蓮の…あの泣き顔が頭に焼き付いていた……無表情で涙を流す、あの顔が……
なんだか足が動かなくて そのまま立ち尽くしていると……
「明………?」
俺を呼ぶ声が聞こえて……俺は反射的に ゆっくりと振り向いた―――……
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