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いってらっしゃい
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「じゃあ、行ってくるな、水音?」
俺はもう見慣れた水音の無表情を見て言った。
あれから朝ごはんを済まし、昨日のうちに洗濯しておいた洗濯物を干したりしていると、あっという間に時間は過ぎた。
水音はその間、片時も俺の後ろを離れなかった。
身長が180ほどもある水音に最初は戸惑ったが、すべてのことを済ましたころにはいくぶん慣れた。
デカいワンコみたいな。
水音は俺を頭半分ほど上から、両手を無造作に横にやり見つめている。
無表情なのが一番怖いというか、不安というか…。相変わらずの無言だし。
…もしかして知らないのか?
「水音、こういうときは『いってらっしゃい』だ」
すると、ハッとしたように息を呑んでから、『いってらっしゃい』と小さな声で言った。
そうだよなぁ。知識としては知っているだろうが、使ったことがないんじゃ、いざ使うときにパッと思いつかないよなあー
こういうのは習慣だから、ゆっくり慣らしていかないとな。
「あぁ、イイ子にしてるんだぞ。じゃあ行ってきます」
俺はどこかうわついた気分に浸りながら家を出た。
この、ゴールデンレトリーバーが。
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