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幸せ
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ほんとによかった…!!
司さんには絶対にいつもニコニコしてほしい。ボクのせいならなおさらだ。
ボクはそこで、いつのまにかボクの中で司さんの存在がどれだけ大きくなっていたかを知った。
なんだろう。こんなに、何かを強く想ったのって生まれて初めてかもしれない。
本当に司さんはボクの『生まれて初めて』をたくさんくれる。だから、ボクは今人生最高に、幸せだ。
幸せ。
この気持ちも初めて。文字でしか知らなかったあらゆる感情が、いとも簡単にボクのなかに生まれていく。
それはとても、とても、嬉しいものだった。
ボクの口が勝手に動いて、ほっぺが引きつりそうだ。笑顔が、こぼれていく。こんなことも司さんが初めて。
スキ。スキ。…ダイスキ。
どうしよう。幸せすぎてどうかなりそうだ。
こんなボクを司さんはどう思うだろう?
司さんを見ると、少し離れたところでネクタイを締めなおしていた。
この気持ちはなんとなく知られてはいけないきがした。
男のボクが男の司さんをスキなんておかしいに決まってる。きもちわるいに、決まってる。
司さんに嫌われるのだけはイヤだ。考えただけで涙が出てきそうだ。
視界が怪しくなってきたのに、ボクはあわてて涙を拭いた。
考えるな。考えるな…!
また司さんが笑えなくなったらダメだ。
ボクが笑ってさえいれば、司さんは悲しい思いをしなくてもいいんだ。
「司さん…!」
「ん? …水音?」
「いって…らっしゃい!」
笑顔で、できるだけキレイな笑顔で送り出すんだ。
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