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秋の天気は変わりやすい。
昼間は澄んだ青色だった空が、陽が傾くにつれて翳りはじめ、
日が落ちる頃には厚い雲におおわれて、湿った風を呼んだ。
「夜には降って来るかもな」
馴染みの店の前で、俺は空を見上げてちいさくつぶやいた。
「ニューハーフクラブ1/2」
オペラレッドの地に黒で店名の書かれた置看板には、まだ灯りがついていない。
だがちょっと時代がかかった木製のドアを押すと、鍵はかかっていなかった。
「ママ、居る?」
照明のついていない店内の奥の厨房から、光と、醤油の焦げる香ばしい音と匂いが漏れ出していて、
返事をきかなくてもここの主の存在を示していた。
「ママ」
「すいませーーん、まだ準備中・・・・あら。ジョーちゃん。」
厨房と店内を仕切るサロンカーテンから、ひょいと顔を覗かせたオッサンが
声のトーンを一気に地声に下げながら笑いかけた。
「ごめん。仕込み中よ。」
「うん、ちょっと早く着いちゃったんだ。適当にやってるから、気にしないで。」
「そう?じゃ、その辺座ってて。掃除は済んでるからね。ああ、お腹は?なんか食べる?」
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