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お茶を飲んで一息ついた俺に、ママはニヤッと笑いかけた。
「男ってね、同時にいろんなこと出来ないんですって。もの食べてるときに嘘つけないでしょ。」
「別に嘘なんか。」
「でも内緒だったでしょ。今日来る人のこと。」
テーブルを挟んで頬杖をついたママが顔をぐっとこちらに寄せて来る。
「さっき質問したときのジョーちゃんの顔。恋する男の顔だったわよ。」
「恋って・・・。」
いい歳のオッサンに似合わない響き。思わず赤面だ。
でも。
そうだな。
「ママにだったら話してもいいかな。」
古い恋の話。
「そうこなくちゃ。どうせ約束の時間までまだあるんでしょう。」
「うん。仕事終わる時間がわからないから、遅くなるかもって言ってた。」
「OK。じゃ、今から壁塗ってくるからちょっと待ってて。じっくり聞かせてもらうから。
丈太郎の恋バナ。」
ママはそういって勢いよく立ち上がると、化粧室に消えていった。
人気のなくなった客席にポツンと残されて、食べかけのおにぎりを口に放り込む。
焦げた醤油のほろ苦さが、少し昔の思い出のようで、俺はひとりで笑ってしまった。
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