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そんな俺と藤川の様子をじっと見ていたママが突然
「ね、ごめんジョーちゃん。わたしまたちょっとおせっかい焼くわ。」と言った。
意味がわからずに首をかしげた俺に微笑みを投げたあと、藤川をまっすぐ見た。
「ねえ藤川さん。」
「はい。」
「あなた、昔ジョーちゃんとずっと一緒にいて、この人のあなたへの気持ち、
全然気付かなかった?」
「ママ、なにを!!」
慌てた。さっきあれほど、もういいって言ってたのに。
だが藤川は、俺を制すると、じっとママの目を見て、少し間を置いて静かに言った。
「俺、色恋の話はほんまに疎くて。」
「藤川・・・・。」
「今でも、全然ダメなんですけどね・・・。でも、あのころは、もっと。
・・・まだガキやったから。」
ちらりと俺のほうを見、またママに向き直った。
「でも、あとで思い返して、なんとなく、気がつくところあったんです。
丈さん時々、俺を女の子みたいに扱うことがあった。
なんていうか、特別扱いされてた気がします。」
顔が熱くなった。
「で、どう?あなたはそれをどう思ってるの。」ママが柔らかい声で聞く。
藤川は今度は俺のほうをまっすぐ見た。あの瞳が俺を捕らえる。
「俺の恋愛対象は女性です。」きっぱりと言った。
・・・だよな。ていうか結婚してるし。
「でも」藤川は続けた。
「俺にとっても、丈さんは特別な人なんです。特別で特別で、すごく大切やった。
そういう気持ちを、もし恋って呼ぶんなら。」
いったん俯いて、ふっと息を吐いた。そしてまた眼があう。
「あのとき、俺も丈さんに恋してたと思う。」
店の喧噪がさっと止んだように感じた。
藤川が穏やかな瞳で俺を見ている。彼の言葉をもう一度頭のなかで反芻する。
胸がつまって、藤川の顔が一気にぼやけた。
俺は・・・・・。俺の想いは・・・・。
ああ。
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