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藤木さん 3
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昴兄さんという人に会ったことがないので、瑶の妄想は、ぼんやりしていた。
瑶の妄想をさえぎるように、鳥の鳴き声がした。
潤がスマホを取り出した。電話がかかってきたのだった。瑶の観察によると、潤は普段、スマホを無音でバイブ機能もなしにしているはずだったが連絡待ちだったからか鳥のさえずり音がしたというわけだ。
「見舞いは、明日にしろ?」
電話口からは、妖しい喘ぎ声がした。
「あ……あぁん……だめ、譲……」
「聞こえてる? 夏目先生ですよぉ」
譲の声がした。
「はじめまして弟の潤です。兄がお世話になっております」
潤がニヤニヤしながら言った。
「い、いやぁ……やめて……いっちゃぅ」
瑶たち三人は、潤のスマホに耳をくっつけた。
「あっ、だめっ……譲……ああぁ」
荒い息と共に、ぶちっと電話は切れた。
藤木と瑶は、潤から離れ、ごくりと唾を飲み込み、慌てて股間を隠した。
「すごいな、兄さん?」
藤木が尋ねた。
「うん。兄と、その彼氏の一人」
「彼氏の一人って……」
「あれだけ喘いでるのに、まだイかせないつもりだな。見舞いは、なしってことは」
「あー、僕もう、興奮してドキドキしちゃった!」
瑶は潤の腕にぎゅっとくっついた。
「あ、ついでに昴兄さんにも電話しよう。これから帰るって」
潤がそう言うと、藤木は、どきっとしたような顔をした。
「あ、昴兄さん? これから帰るね。あっ、今、藤木さんもいるよ。帰ったら何があったか教えて。じゃあね」
潤は、ニヤニヤしながら、藤木の顔を見た。藤木は、顔を赤らめて、下を向いてもじもじした。
「感じちゃいました?」
潤は、藤木の耳元で言い、顔を覗きこんだ。
「も、もう帰るから、俺」
藤木は立ち上がった。
「僕も帰ろ。今日は早く寝ようっと」
「俺も。昴兄さんが、寝かせてくれないかもしれないけど。ふふふ」
潤は、藤木の顔を見て面白そうに言った。
「藤木さんも潤も、僕にも、聞かせてくださいね!」
「ああ。瑤、今度、マンションの方、遊びに来いよ」
「わーい、行く行く」
「じゃあね」
「さようなら」
「じゃあな」
瑶たちは道で別れた。
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