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リチェールの気持ち 3
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────体の軋んだような鈍い痛みで目が覚めた。
辺りが真っ暗だからもう夜なんだろうと、電気をつけるために体を起こすと思わず息を飲むくらい激痛がした。
『……っつ。力一杯殴りやがって』
とりあえず乱れた服を整え、鉄の味がする口をゆすごうと一階に降りた。
キッチンではいつの間にか帰っていたらしい母親が、コーヒーを飲んでいた。
『あら、帰ってたの』
白々しい。
オレが今日帰るの知ってて、親父と二人っきりにしたくせに。
『あなた達の趣味をどうこう言うつもりはないけど、その怪我でこの辺うろうろするのやめてね。変な噂たつと仕事の迷惑だわ』
『それしか言うことねーのかよ』
『なに、心配してほしかったの?気持ち悪い』
母親は無表情に吐き捨てると、コーヒーをそのままに家をあとにした。
残された静かな空間で、嫌でも初めてされた時のことを思い出す。
あの日は、いつも通りにゆーいちと遊んで、帰宅した。
リビングには珍しく親父がいて、TVもつけずにソファーにうなだれていたから、大丈夫?と声をかけてしまったんだ。
そのままソファーに押し倒され何がなんだかわからなかった。
何度も母親の名前を呼ばれていたことは鮮明に覚えている。泣いて、叫んでも、やめてくれない。
抵抗すると、力一杯殴られた。近くにあった。コードで手を縛られた気がする。
それでも必死にもがいていると、ドアの隙間から帰ったばかりの母親と目があった。
『お母さん!!お母さん、たすけて!』
無我夢中で必死に手を伸ばしたけれど、母親は無表情のまま、オレに背を向けいなくなった。
その瞬間、オレの中で何かが、崩れた気がした。
抵抗をやめて、目を閉じれば、不思議と涙も止まった。
受け入れればよかったんだ。愛されていなかった事実を。
最後に泣いたのはあの時がたぶん最後。
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