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feb.13.2017 SABUROのバレンタインは一日早いのです/衛と理 2
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「今年のテーマは白だ。」
衛はテーブルに並べたシチューを指さしてそう言った。テーマ・・・ね。だってホワイトシチューじゃんか、これ。
「鶏肉は圧力鍋でフワフワに柔らかくした。冷ました煮汁にスキムミルクを溶いて牛乳の代わりにした。」
「へえ~(スキムミルクってなんだ?)」
野菜はたっぷりの白菜とカリフラワー。」
「えええ!カリフラワー?なんでそんなもん入れるんだよ。」
「新鮮なのが手に入ったんだ。ちゃんと歯ごたえを残しているから食べられるって。村崎のブロッコリーだって食べられたじゃないか。だったら俺のカリフラワーも大丈夫だ。」
「まあ・・・そうだけど。」
何故にカリフラワー。あれ系苦手なのにな。白菜はいいよね、トロトロになるし甘くておいしい。しかしカリフラワーが余計じゃないか!(でもこれ以上の抗議は水を差すだろうからやめておく)
「大丈夫。騙されたと思って食べてみろって。」
キラーンと男前スマイル。ああ~もうわかったよ、食べるよ!
男らしくカリフラワーから口に入れた。あれ・・・あれれれ?美味しい・・・です、はい。
「美味しい・・・なんでだろ。」
「よしっ!」
衛のガッツポーズ、初めて見ました。そんなに気合いれてたのか・・・いつも感心するよ、そのエネルギー。俺の「美味しい」の為に日々頑張ってくれている。さんざん仕事で鍋を振っているというのに、休みの日もこうやって作ってくれるわけだ。365日、火の前に立たない日はない。もうこうなったら愛というより尊敬の域だよね。
白菜はトロトロだし、サクっとした歯ごたえに仕上げられたカリフラワーは本当に美味しかった。好き嫌いがまた一つ減った。もしや衛は俺の好き嫌いを撲滅しようとしているのかも。一生かけて取り組むにはいい課題だろ?とか言いそうだから、聞かないでおこう。
天気予報が見たくて点けたテレビではニュースが映っていて、雪まつりの雪像を豪快に破壊している映像だった。
「前もこの映像一緒にみたような気がする。」
「毎年映る風物詩だよね。破壊活動を眺める観光客の数がすごい。カメラの撮影もすごいね~。」
大通公園の地下は地下鉄や駐車場になっているから、雪像みたいな何百万トンレベルの重量のものを長く置いておくとよくないよ、なんていう事情もあるみたいだしね。早いところ雪捨て場に移動させないと色々面倒もあるだろうし。酔払いが昇って転落とかね(その前に凍死するか)
「雪まつりが終わってよかった。」
「うん・・・よかった。」
旅行があったせいか去年よりも頑張れた気がするし、覚悟していたせいもあって疲労感が今年のほうが少なかったかな。忙しかったことにはかわりないけれど。
お腹がふくれてまったりしてきた頃、衛が箱をテーブルの上に置いた。
はは~ん、これはグラスだ、間違いない。
「わかったって顔だな、それは。」
「俺の予想ではグラス!」
衛はニヤリとした。なんだ?その勝ち誇りスマイルは。
「グラスだけど、見たことのない形だと思う、開けてみろよ。」
そりゃあ、開けますとも。
開けました・・・手にとりました・・・えええとこれは何かの冗談ですか?
「なにこれ?」
衛はフフフと笑いながら、もう一つを手に取った。もちろん二つだよね、だって俺達のものなんだし。
しかしこのグラス、どうしたものか。まず形は完全な円形でまん丸。そして側面が斜めにカットされている。円の半分から上の中心までないのです、う~んこれうまく伝わらないよね。そしてカットされていない側に細長い棒状のガラスがついている。でかいダンコにつまようじ刺しましたみたいなね。これはなんなんだ!
「北欧デザインらしい。」
「北欧突き抜けてるな!」
「グラスだから注ぐぞ。」
衛の手でボトルのワインが注がれた。うわ!こぼれないの?大丈夫?というドキドキ感。
「この円の中で香りが立つらしい。」
「でもこれどうやって飲むの。」
「その棒を持つ。これがワイングラスで言えば足になる。」
「えええ~この中途半端なのが?」
「そういうこと。」
「ちょっと衛飲んでみせろよ。」
衛はグラスの足(つまようじ?)を持ってコクンとワインを飲んだ。普通に飲めるのか・・・へええ。俺も真似をして飲んでみる・・・飲めた。
「なんかガブ飲みには適さないグラスじゃない?」
「そう思って買ってみた。なにかの機会で高いワインを飲むことがあったらこれを使えばいいだろ。」
「あ~ビンテージ的なのを飲む時とかね。」
「そういうこと。」
うわ~なんか日常使うにはザルカップルには向いていないけど、特別な時はいいかもね。しかしよくこういうの見つけてくるな、衛は。
(皆さん、どんな形かまったく想像できないと思うのでお時間のある時に検索してみてください。Mojoo レヴォリューショングラスといいます。)
「じゃあ今度は俺の番!」
俺は届いたままの段ボールを床に置いた。プレゼント的じゃないけれど、綺麗な包装紙も結局ゴミになるしね、ここは合理的に。
箱を開けた衛は「ああ~これか。」と言った。そりゃご存じですよね。
俺が買ったのはホットプレート。2~3人用のお手軽サイズが気に入った。BRUNO コンパクトホットプレでは一番人気が赤らしいけど、俺はグレーにした。これは限定色でこの色だけ蓋のつまみが魚の形になっているから。
「ホットプレートか。」
「衛のオーブン以外のインスピレーションを刺激できるかなって。」
「焼肉かよ!」
「違うよ!ステーキにしてよ。そしてガーリックバターライスを作ってくれよ!」
「ああ、そっちか。」
はい、そっちです。でももう一つお願いがあったりする。
「それでさ、夏になったら延長コードでベランダにでよう。」
「そこでステーキ?」
「いや、俺はパエリアを希望する!」
「パエリアか・・・ステーキ・・・なるほど。」
衛の頭の中では色々なメニューがプカプカ浮いているに違いない。付録のレシピを見ながら考え事をしている。その顔は真剣で、やっぱり男前。
「まさか理が調理道具とはな。」
「単純に衛レパートリーで少ないものを考えたら焼き物だったから。そして俺はパエリアが好きだ。しかしムール貝は入れないでいいよ、ホタテにしよう!」
「まかせておけ、ところでワインまだ飲むだろ?どっちのグラスで飲む?」
ええ・・・と申し訳ないけど、まだまだ飲み足りない。
「・・・うすはり。」
「あはは、だろうと思った。それでこそ理だ。ついでに隣にこいよ。のんびりしよう。」
こうして俺達のバレンタインはゆっくり流れていった。
そうだな、明日の14日は少しいいワインを買って、このヘンテコグラスで飲もうか。
できるだけ長くバレンタインが続くほうがいい。
できるだけ・・・長く。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
なんとか3カップル間に合いました~~
ギイさんとマスターがいない?
すずさんと省吾さんもいないんじゃないの?
紗江さんとヨシ兄もいない?
はい、いません。そこまでは絞りだせませんでした・・・
バレンタインらしく、精一杯甘ったるくしてみましたが、結局そうでもないといういつものパターンでございますww
ご勘弁を!!
せい
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