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november.12.2017 幸せな一大事 その4
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「大丈夫だろうか。俺が緊張してきた」
「わかる。おまけにメニューがいつもと違うから別の緊張もある」
土瓶に出汁をはりながら村崎はソワソワしている。俺は前菜の盛り合わせの最終チェック。今日の料理はすべて箸で食べられるものにした。こんな時にテーブルマナーは余計だろう。
「悪かったな。サトルと誕生日するつもりだったんだろ?」
「別に明日だって行ける。理とはいつでもお祝いできるが、こればっかりは他にスライドできないだろ」
「そうだけどね。なんか口から心臓でそうなんだよ」
「北川の家に乗り込んだお前が何を緊張しているんだか」
「自分のことはどうにでもなるけど、人のことは心配しか浮かんでこない!」
俺は手元に集中する。鴨肉のローストには山わさびと甘めのタレを彩りよく。ダイスにカットしただし巻きの横に丸に成型した大根おろし。上にコネギの先端をカットしたものを渡す。小松菜と拍子切りの人参は煮びたしにしたあと3本3段に積み梅味噌を天盛り。ナスは味噌チーズ焼きにしてカットしたパセリをのせる。大ぶりの皿に彩りよく盛り付けるのは楽しいが、なかなか難しい。
「おおお~いいんじゃないの?キレイキレイ」
「土瓶は大丈夫なのか?」
「バッチリよ。松茸とはいかないけどスーパーキノコたちが大活躍だ」
「スーパーね、なるほど」
「マイタケ、エリンギ、しめじ、シイタケ。スーパーで買えるキノコだからスーパー。でもいい働きをしてくれるよ」
「いらっしゃいませ!」
店の入り口をみるとすずさんと章吾さんだった。時計は17:25。いよいよ夜が始まる。トア達の到着予定は18:00。それまでに店内を温めておかないと。
「うし、飯塚。そんじゃ、始めますか!」
村崎とグータッチをしてコンロに火をつけ鍋をのせた。今日という日がいい日であり、誰にとっても忘れられない日になりますように!
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