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かごめ かごめ
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かーごめかごめ
かぁごのなーかのとーりーは
いーついーつでーやぁる
よーあーけのばーんに
つーるとかぁめがすーべった
うしろのしょうめんだーぁれ………あは、
「…あーあ……………もしもし?あのね、俺」
ひと、ころしちゃったみたい
彼は明るい声でそう言った
ーーーーーー
かごめ かごめ
side sana
ーーーーーー
「…え?」
『だーかーら、人、殺しちゃったの』
「なに、言ってるの、麻木」
『なにって?事実を言ってるだけだよ』
「ま、待ってよ、いきなりそんなこと言われても…っ」
『ねぇ、佐奈 来て』
「…ぇ」
『来て』
「……麻木、」
『佐奈』
「…わかった、すぐ、行く」
『うん ありがとう』
「…30分くらいで着くから、それまで、外に出ちゃダメだよ、何にも触らないで、わかった?」
『ふふ わかってる 待ってるね』
「…麻木、」
『なぁに』
どうして、そんなことしたの?
「…ううん、なんでもない。じゃあ、また後で」
『待ってるから』
早く 来てね
麻木はまるで天気の話でもするようにのんびりとした口調でそう言った。
それを最後にプツリと切れた通話。聞こえる無機質な電子音。
しばらくそのまま立ち尽くした後、上げていた腕を下ろす。
そして視界に入った携帯を握る手が酷く震えていることに気づいてしまった。
僕はなんであんなことを言ってしまったんだろう。
今更になって怖くなった。
カタカタと鳴って止まらない歯。ガクガクと震え出す膝。
今朝起きた時はいつもどおりの日常が待っていると信じて疑わなかったのに。
麻木章良(あさきあきよし)は僕の、恋人。
大学時代に気の合うサークル仲間だった彼に告白されて付き合い始め、3年になる。
今はお互い社会人で、学生時代より会える時間は減ってしまったけれど、いい関係だと思っていた。
男同士だから結婚ができるわけじゃないし、世間に堂々と胸を張れるわけでも無いけれど、それでも。
僕は麻木と居る時間が心地よかったし彼の優しい所も少しだらしない所も大好きだった。
これが愛だと信じていた。
だから、彼の告白に動揺はしても、拒絶し突き放すことや見捨てることができなかったんだと思う。
人を殺すことは『悪いこと』だと、小さな子供でも知っている。
僕だって勿論わかってる。
でも。
ぐるぐると頭の中では色んなことが巡り巡るけど。身体は勝手に動いてデスクの上放置していた車のキーを掴み、財布と携帯をポケットにねじ込み家を飛び出していた。
これが夢ならどれほどいいか。
そう願いながら踏み込んだアクセルは僕に紛れも無い現実を押し付けるかのように重く感じた。
待ってて 麻木 すぐに行くから
とにかく彼の元へ1秒でも早く駆けつけたかった。
サイドミラーに小さくなる自分の住むマンションを横目に僕はただただ1人ぼっちで居るだろう恋人を想った。
君は一人で何を思っているのだろう
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