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子猫と白ライオン
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掴まれた手は無理矢理に指を絡められて
恋人繋ぎを強要される
しっかりと白くて細い指が俺の手を握っていて
でもちゃんと大きくて
こんなに可愛らしい見た目でもやっぱり結葵君も男なんだな、なんてどうでもいいことを考えていた
「……」
「……」
「……え、っと結葵君?」
「はい?」
「あの、なんで手繋いでるのかなって」
「ダメですか?」
「ダメ?! いや……ダメとかじゃなくて変だよね……?」
「変じゃないですよ、仲良しの印」
「……」
にっこり首を傾げて頬を赤く染めて笑う結葵君を見て頭の中はハテナでいっぱいになる
これが最近の流行り?
高校生の中ではこういうのが主流なのか……?
俺だって三年前は高校生だったのに
ちょっと変わっただけでもう遠い昔みたいに思える
「祥さんの手いつも思ってたんですけど綺麗ですよね」
「そう?」
「はい……男の手じゃないみたい」
「俺は男だよ」
「分かってますよ。 そうじゃなくて、優しい手だなって」
「……結葵君?」
そう言って目を伏せる結葵君が
どことなく悲しそうに笑う
何かあったんだろうか……
心配な気持ちが生まれた時
静かに結葵君が口を開いた
「僕、小さい頃お母さんに捨てられたんですよね」
「え?」
「父親は元々家に帰ってこなくて、愛人の家に入り浸り。 お母さんはそれでも僕と家でパパ今日は帰ってくるかな? なんて笑って待ってました」
「……」
「でも帰ってくる訳ないんですよ。 帰ってくるならとっくに戻ってきてる、その現実に僕が気づいた時には今度はお母さんも男を作ってました」
「ゆ、あ君……」
「……ふっ、でもおかげで今は幸せですけどね」
「幸せ?」
「この世界に入れたし、祥さんに会えたし」
「……」
誰だって悩みを抱えてるとは言うけど
結葵君の傍には誰かが居てくれたんだろうか
結葵君の少し寂しそうな表情が
昔の陽にソックリで
気づいた時にはフワフワなブラウン色の髪を撫でていた
「──ッ!」
「結葵君、たくさん頑張ったんだね」
「……祥、さん」
「偉いね。 頑張ったからきっともっとこれから幸せになれるよ」
「……祥さん」
泣きそうな顔をした結葵君がふわりと抱きついてくる
ずっと一人って寂しいよね
お父さんをお母さんと一緒に待っていた時間
お母さんもお父さんも居なくなって
一人で誰かを待っていた時間
独りって、本当に怖いよね寂しくて冷たい
よしよしって優しく結葵君の背中を撫でる
17歳って言ってもまだまだ子供だ
成人して見て思ったけど
二十歳を超えたらもっと大人になれてるんだろうって高校生の頃の自分は夢見てたし期待してた
でも二十歳になった所で急に何もかもが大人になるなんて事はなくて
ひとつひとつ自分が何かを経験して
初めてそこで色付くんだってこと
年齢を重ねてくだけじゃ
大人になった事にはならないってこと
期待してた以上に呆気なく二十歳になっていた現実
だから、17歳の時間ってとても大切だ
二十歳になるまでの間に沢山経験して
物事を見てそれから大人になった時
それが自分を成長させるから
だから結葵君もきっと素敵な男性になるんだろうな
まだまだ大人っぽく見えていたって
あどけなさはあるし、子供っぽい時もある
でも結葵君がどこか大人のように見えるのは
一人で乗り越えて来たからなのかもしれない
「結葵君、寂しくなったら一緒にご飯食べよっか」
「良いんですか?」
「あ! でもちゃんとマネージャーさんに伝えて許可を取ってからね」
「それは大丈夫ですよ」
「ダメだよ。 結葵君は芸能人の前に学生だろ?」
「……はい」
「ふふっ、今日はもう帰らなきゃ。 下まで送るよ」
「……祥さん」
「なに?」
「ありがとうございます」
「……いいえ」
どこか恥ずかしげに笑う結葵君を見て
何だか心がくすぐられた
「じゃあ結葵君、気をつけるんだよ」
「はい、祥さんも気をつけて。 男でも夜道に一人は危ないですから」
「大丈夫! 今日は友達が迎えに来てくれるんだ」
「……天使さん?」
「うん……そう」
「……そうなんですね、だったら安心です。 じゃあ僕帰ります」
「ばいばい」
にっこり笑った結葵君が手を振って帰っていく
俺もそろそろバック持って下に降りて待っておこうかな
そう思って後ろを振り返った時、
急に視界が真っ暗になった
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