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誕生日会 …5
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風呂から出ると、雅治さんがベッドに寄りかかってボヤーッとした顔でテレビを見ていた。
相当お疲れみたいに見える。
俺に気付いた雅治さんが、フラリと立ち上がった。
「陸〜。水かお茶、もらっていい?」
「いいですよ」
俺が台所へ行こうとすると「自分でやるからいいよ」と、雅治さんが冷蔵庫の前に立った。
「あ、なんか飲みたいときは、いつでも勝手に冷蔵庫開けていいですから」
そう返すと、雅治さんがお礼を言いながら冷蔵庫を開けて、少し中を観察するような仕草をした後、水のペットボトルを取り出した。
雅治さんが、ペットボトルの蓋を回しながら、俺の隣に来た。
そして、甘えるように、俺の頭にこてんと頭を付ける。
ん?
こんな甘える仕草、珍しい。
「ねぇ、陸」
「なんですか?」
「勘違いだったら恥ずかしいんだけど…冷蔵庫の中にあるケーキ。あれ、俺のための?」
「…あ!」
ケーキの事をすっかり忘れてた!
何か、そういう気分じゃなかったのもあるけど…
しかも、プレゼントもまだ渡せてない…
「そう、ですね。雅治さんにケーキ買ったんですけど。…でもこんな時間にケーキ食べたら胃もたれしそうですし、良かったら明日の朝に食べませんか?」
雅治さんが「んーーー」と、ため息混じりに唸った。
「ごめん。俺が途中出かけたりしたからタイミングなかったんだよな?…でも、今から食べたい」
雅治さんが、頭をスリスリと俺に擦り付けた。
なんか、猫みたい。
「なんだかすごく眠そうですけど…。無理して今食べなくても…」
「無理じゃない。…眠いって言うか…酔ってるね、俺。いや、確かにちょっと眠いけど。とにかく、ケーキ食べたい」
え?これ、酔ってるの?
酔うとか、珍しい。
疲れたところにお酒なんて飲んだからかな…
酔うと甘えたがりになるのかな?
可愛い…
「分かりました。じゃ、ケーキ持って行くんで座って待っててください」
雅治さんを元の場所に座らせて、冷蔵庫からケーキを取り出した。
箱からケーキを取り出してテーブルに置いたら、雅治さんが嬉しそうにしてケーキをスマホで撮る。
女子みたい。
酔った雅治さん、面白い。
「陸、ありがとう」
そう言ってケーキの上にチョンと乗っているプレートを見つめた。
[まさはるさん 誕生日おめでとう]
って書いてあるチョコレートのプレート。
小さなケーキでこれを頼むのはすごく恥ずかしかったけど、こんなに喜んでもらえたら、頼んで良かったと思える。
「ろうそく立てますか?」
「…恥ずかしいから、いいや」
そう言ってはにかむ顔もまた可愛い。
良いこと、発見したなぁ。
雅治さんは、酔うとフニャリとした感じで可愛くなるんだ。
「何か、切るの嫌だから、このままフォークで食べていい?」
「もちろんです」
雅治さんにフォークを渡すと、ケーキをじっと見ていた雅治さんが「最初にコレ食べたい」と、チョコレートのプレートを指差した。
「どうぞー」
「…そうだ。これ、食べさせてもらいたいなぁ。俺の誕生日なんだから、これくらいのお願い、いいよね?」
「う…。分かり、ました」
俺も渋々とフォークを持つ。
プレートがうまくフォークに乗らなくて、モタモタしてると
「手でいいから…食べさせて?」
と、雅治さんがあーんと口を開けた。
えっ?手で?
でも、もう雅治さん、口開けてるし…モタモタしてたら申し訳ない。
えいやっとプレートを手でつかんで口元に運んだ。
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