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二宮課長さん …1
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「あとー…河野の事も聞こえたけど…」
「あ…」
「一応、河野の名誉のために言うけど…河野のあの噂が流れたのは、決して松井みたいに分かりやすく動いてたからって訳じゃないんだよ」
え?
そうなんだ?
てか、二宮課長さんから見ても、松井さんって分かりやすいんだ…
「いつだったかなー?まあ、だいぶ昔の話だけど…ある時、河野に告ったヤツが、河野にこっ酷く振られてさ。その腹いせに、そいつがあの噂を流したんだよ。どこから聞きつけたか分からないけど。"河野は小栗に長いこと片思いしてる"ってね」
「えっ⁈そんな事があったんですか?」
「そう。河野は会社では…そう言う…あいつに対する特別な態度なんて出したことないけど…。噂が出てからかなー?吹っ切れたのか、あいつが出張でこっちに来るたび、飲み会とかで『私が狙ってるんだからね!』みたいな?雰囲気を出すようになっちゃって…」
「……」
そうなんだ。
…河野さんって、俺が思った以上に、色々辛い思いしてきたのかな。
「あいつ、本当、不器用なんだよねぇ…」
二宮課長さんが、そうポツリと呟いた。
あいつって…
その言い方は、部下を心配するって言うより、もっと別の…想いのように聞こえた。
「ま、これはここだけの話!と言うことで!…それにしても、佐藤くんって、何かすごいよねぇ」
「えっ?何がですか?」
「あのプライド高い二人…河野と小栗を、手懐けてる感じで…」
「いやっ、手懐けるとか…えっ?」
突然、小栗さんの名前が出て、ドキリとした。
「はは…でもまあ、気に入られてることは確かだよねー。あの二人、人を寄せ付けない雰囲気があるでしょ?なのに、佐藤くんにはそういう壁がないんだよね。佐藤くんには、何か不思議な魅力があるのかな?」
「えーと…いや、どうです、か、ね?」
飲み会の時、友達つながりって言った河野さんならまだしも、小栗さんとの事もそう言われて、かなり焦った。
やっぱり、何か出ちゃってる?
俺、分かりやすいかな?
だとしたらマズイ…
「俺…そんな佐藤くんにすごく興味があるなぁ。…ね、今日…」
「あ、二宮さ〜ん!」
二宮課長さんが何か言いかけたところで、後ろから女性に声をかけられた。
「あ、なおちん、どうした?」
振り返ると、30歳くらいのキレイな女性が立っていた。
その人は俺と目が会うとペコリと会釈してから、二宮課長さんに話し出した。
「先週はご馳走様でした!」
「いえいえー、また行こうね」
なおちん…あだ名かな?
何か、親しげ。
「設計の内村さんが、午後からの会議に出て欲しいって探してましたよ〜?また携帯鳴ってるの、無視したでしょう?」
「えー?あ、本当だ!今気付いた!ごめんごめん!戻るついでに寄ってくよ!ありがとね」
「いいえ〜」
「佐藤くん、という訳でごめんね!またゆっくり話そう!」
二宮課長さんは、申し訳なさそうな顔で微笑んで、その女性と休憩所を後にした。
「はーー…」
ここで、二回目のため息…
二宮課長さんって…八方美人?
あの女性への態度、なんか女の子慣れしてそうな雰囲気だった。
意外と遊び人だったりして。
俺にもすごいフランクだし…
明るくて優しいし、話しやすいし。
男女構わずモテそうだなぁ。
でも、何考えてるか分かり辛くて、ちょっと不思議な人…
そんな事を考えながら、俺は午後の作業に戻っていった。
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