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勘違いと鈍感
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イライラとし出す俺を見て
奏海がきょとんとしてこっちを見てくる
なんかその視線さえも馬鹿にされているみたいで尚のことイラつきが増した
「…先輩もしかして怒ってます?」
「はっ?」
「………先輩いつもヘラヘラ笑うかなんかだから初めてそういう顔以外見たなって」
「…誰だってバカにされたら怒るだろ!」
「それそっくりそのまま先輩にお返ししたいです」
「俺がいつ馬鹿にしたっていうの?」
「馬鹿にしたっていうよりも俺の尊厳を奪った、ってほうが正しいですけど」
「俺がいつ奏海の事汚したんだよ」
「……俺は至ってノーマルだったのに男とするなんて驚き通り越して現実じゃない気分です」
「は?別に男同士だろうが男と女だろうが誰と恋するのかは自由なんだし、それはセックスも同じでしょ」
「だからまた……それは先輩の考え方であって俺の考え方じゃない、先輩の当たり前を俺に迄押し付けないでください」
「…………だって奏海も最後は喜ぶと思ったんだもん」
「…はあ……俺は先輩と言い合いしたいんじゃないんですけど」
奏海の言ってる事流石に分からないほど馬鹿じゃない
俺には俺の普通が存在して
奏海には奏海自身の普通っていうルールがある
それは一番最初はぶつかりあって混じわり合わなくても、そのうち重なり合えば互いに受け入れたようなもんで
でも奏海と俺は結果混じり合わなかった
奏海は俺のこの普通を異常だと感じるし
俺にとって奏海の硬すぎる考えとかもおかしな話に思えるわけで
それはもう分かってたしきっとここ迄攻めても折れないんだからこの先も変わらないだろうし
だから今日は早めに身を引いたんだけど
わざわざそれを改めて言われるとなんか嫌だ
言われなくたって知ってたし…
なんかどんどん気分が下がってきて
今朝の楽しい気持ちとかどこかに消えていた
「…もうだから分かった、俺帰るから離してよ」
「いじけないで下さいよ」
「いじけてないしそうやって俺を子供扱いするのもムカつく!」
「じゃあ先輩が大人になってくださいよ」
目の前でサラッとそう口にする奏海にカッチーンと来る
今の言葉、今迄で一番腹が立つ
「もう本当に怒った!奏海なんか嫌い!」
「……だからそういうところが」
「離せってば!帰るっ!」
「大学来たばっかでしょ先輩」
「そんなのどうでもいい帰るったら帰る!」
「駄々こねないでください!」
奏海のいつもより大きな声と同時にグイッと腕を引っ張られたせいで奏海の顔が目の前に見える
やる気は無さそうだけど済んでいる綺麗な瞳が本当にキスできちゃうくらい目の前にあって
吐息がわかるほど奏海の唇が近くにあって
心臓がトクントクンと高鳴り始めた
そのまま瞳があったまま逸らす事が出来なくて手繰り寄せられる
………キスしたい
そう思って本能のまま理性とかどうでもいいやなんて投げ捨て顔を近づけた
けど、後少しってところで奏海の手のひらによって俺の口は塞がれる
「ちょ、先輩」
「………」
「今キスしようとしただろ」
「……だって目の前に奏海が居るから」
「……もう言ってることがめちゃくちゃ過ぎて手に負えない」
「…………」
奏海が何かまた俺へ注意をしてるのは分かったけどそれよりも頭の奥がポーっとする
ドキドキとかじゃなくて
トクントクンと柔らかいけど強く心臓が高鳴って
この前のチクチクとした痛みとはまた違う胸の苦しさにこれが何なのか気になって仕方ない
それにただ顔が目の前に来たからってキスしたいしか考えられないほど俺はキス好きだったっけ………
「先輩?……せんぱいっ!」
「…へ?」
「いつまでボーとしてるんですか」
「………」
「聞いてましたか?」
「…なんか言った?」
「また……だから、今日のバンドの練習来ませんか?って聞いてるんです」
「…………バンド?」
「はい」
「えーめんどくさい」
「まあそういうとは思いました」
「だって歌とか聞いても眠くなっちゃうし」
「………じゃあ寝てて良いんで来てくださいよ」
言葉ではそうは言ってるけど
奏海の顔は全面的に寝るのかよと言いたげだ
まあ確かに演奏してくれてる人の曲聞いて眠くなるなんて失礼だろうけど
そんなの俺には関係ない
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