アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
よん
-
昼休み。
藤木「うぁー…すげー大雨。今日どこで昼飯食う?」
須藤「どこでもいい」
藤木「それが一番困るんだっつの!」
昼休みはいつも屋上でまさと二人で飯を食ってた。
だけど、雨の日に備えての場所は決めてないから、食べる場所はその場で相談する。
須藤「たまには学食に行くか?」
藤木「俺はいいけど、お前は弁当あるのにわざわざ学食行っていいのか?」
学食は地味に遠い。
弁当のやつらは移動がめんどうで教室で済ましている。
購買の方が近いし、そこで俺が昼飯を買って教室で食う方が効率がいいんだけど。
須藤「別にいい。それに、先輩が食堂で一緒に昼飯を食べようってさっきメールが来た」
藤木「なんだよそれ、無視しときゃいいじゃん。いつも一緒に食ってるわけじゃないし」
須藤「それでも、先輩の誘いを断るのは失礼しょ」
まさは真面目だ。
関わりのない先輩でも、ちゃんと相手をする。
俺がほっとけって言っても、まさは先輩の言うことを優先した。
…いつものことだけど、なんか、ムカつく。
須藤「藤木、すごく不満そうな顔してる」
藤木「してねーし。勘違いも程ほどにしろ」
財布を持ち、まさを置いて教室を出る。
弁当を手にしたまさは駆け足で寄って、俺の後ろを歩いた。
須藤「大丈夫だって」
藤木「なにが」
須藤「明日は晴れるって天気予報で言ってた」
藤木「だからなに」
須藤「明日からまた二人きりだから」
思いきりまさの足を蹴った。
食堂は人がたくさんいた。
座る場所を探そうとしたら、奥の方で新太が手を振ってるのが見えた。
何ですぐ分かったんだと思ったけど、そうか、まさがデカいもんな。
新太「いよっすー元気かー?」
藤木「この雨でテンション下がってるのに、なんでお前と飯なんか…」
新太「あれ、オレ先輩なんだけどなー…」
新太が苦笑いを浮かべてるけど、無視して今日のメニューを見る。
藤木「カレーにするか、カツ丼にするか…」
新太「日替わりランチとかどうよ?今日はからあげ定食らしいぜ」
藤木「からあげか…」
須藤「そういえば、ここのからあげって食べたことないな」
藤木「じゃあそれにするか。買ってくる」
須藤「ん」
食券を買ってお盆を持って列に並び、からあげ定食を受けとる。
二人のとこに戻ると、何を話していたのか(新太だけ)盛り上がっていた。
新太「え、じゃあ彼女いない歴年齢なのか!もったいないな~一回は作っといた方がいいって」
須藤「でも、先輩は二度に渡って失敗してる上にトラウマになってますよね」
新太「言わないで…」
須藤「すいません、説得力が無いもので」
新太「お前って丁寧に人の傷口を抉るよね…」
須藤「そうですか」
新太「納得すんな!…あれか?彼女が出来ないのは、ふじふじがいるからか?お前ら、小学校から一緒みたいだしな~ふじふじがいると女子達が近寄りがたいとかーー…」
そこまで聞いて、俺は新太の後ろからお盆を思いきり頭に叩きつけた。
俺が戻ってきてたことに気づいてなかったみたいで、新太が痛みと驚きが混じったような声をあげた。
新太「あぐぁっ!?…あ、ふじふじおかえりー」
藤木「そのあだ名は止めろつってんだろ」
不機嫌オーラをむき出しにして席につく。
お盆の上は汁物がこぼれてびしょびしょだった。
藤木「新太のせいで定食が滅茶苦茶じゃねぇか」
新太「オレのせいかよ!?」
無視してからあげを一つ口に放り込む。
出来立てのからあげは衣がカリカリしていて、噛めば噛むほどじゅわっと肉汁が出てきた。
須藤「どうだ?」
藤木「…美味い」
新太「ここのからあげは絶品だって言ってたからなーまぁ、オレは断然カレー派だけどなっ」
からあげは美味い、普通に美味い。
美味いのに、イライラが収まんなくてからあげの味が楽しめない。
須藤「俺にも一口くれ」
藤木「お前、弁当があるだろ」
須藤「一口ぐらい平気だべ」
藤木「…ほらよ」
箸でからあげを一個つまんで、まさの弁当箱に放り込む。
まさは気にせずといった顔で、自分の箸で放り投げられたからあげをつまんで食べた。
須藤「美味い」
新太「お前が言ってもイマイチ伝わんねーなー」
けらけらと新太が笑いながら言った。
俺が不機嫌なのに須藤は全く動じないし、心配もしてくれなかった。
いつものことなのは知ってる、でも煮え切らない。
今日は最悪の気分のまま、一日を終えた。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
5 / 8