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自校の生徒だけでなく、他校からも蒔田目当てのファンが連日地方球場に押し寄せていて。準決勝ともなるとその熱気は恐ろしいほどだった。
走攻守揃った抜群のセンス。むさ苦しい坊主頭の中で、一人だけ飛び抜けたルックス。前年度に全国大会に出たこともあって(結果は一回戦で敗退だったが)、その年はさらに注目を浴びていた。
蒔田の高校の女の子たちも、それは例外ではなく。一体どっちの応援だと思うようなワーとかキャーが、深山の打席のときにはひときわ大きくなるのだ。
守備につくセンターからバッターボックスは遠く、裸眼視力が2.0を誇る蒔田でも、打席にたつ深山の表情はよく見えない。どんな顔をしてるんだろう…と、うだるような暑さの中で蒔田は一瞬試合とは別のことを考えていた。
そういえば、前の試合をテレビで見たときは、そん中でも涼しげで表情ひとつかえてなかったっけ。クールなイケメン、そう呼ばれるのもそれゆえだ。
研究のために見ていたチームメイトたちも、プレイ以上にそのあたりが気になるらしく、「ずりぃよ、こいつ」なんて声が多数上がっていた。
「深山をつぶそう!」みたいな物騒な(もちろん正攻法で、だけど)盛り上がりかたをして、準決勝へのモチベーションを上げていったのも…今考えると不謹慎だがバカな思いでのひとつだ。
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