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やはり音楽だけでは飽き足りず、持ってきた雑誌をほぼすべて読みきったころ。蒔田が降りる駅のひとつ前の駅を出発した。
座ったのが自由席というだけあって、人の入れ替わりが激しい。前後や通路を挟んでとなりに新しい人が座ったり、空いた席を求めて通路を歩いて行く人が後をたたなかった。
人一倍デリケートなつもりはない。が、通り行く人たちに無防備な寝顔をさらすのはどうも苦手で、蒔田は電車でしっかり寝られたことはなかった。
(よっく寝られるよなぁ、この状況で)
見下ろした視線の先の深山はまだ気持ち良さそうに熟睡中で。そろそろ起こさないといけないのが、申し訳なくすら感じてくる。
「ミヤさん…ミヤさん。オレこの次降りますんで」
いよいよまもなく停車するという、例の音楽と車内アナウンスが流れたとき、やむを得ず隣の肩をゆすって声をかけた。
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