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無心に頭を乾かしていると、膝の間から見上げてくる深山の目と目がぶつかった。
黒目の大きい目を眩しそうにほそめながら、蒔田の顔、あごのラインあたりに指を伸ばしてくる。そろそろ朝剃ったひげがちくちくしてくる頃だ。
「面倒見いいよなー、お前」
彼女は幸せものだなぁ。深山の口から漏れた小さな呟きを聞き逃さなかった。なんでここで、彼女なんて単語が出てくるのか。
「…どっちかって言うと、大きい弟ができた感じですけど」
「先輩なのに?」
「なのに」
「むかつく」
濡れて重たくなっていた髪が、ふわふわになった。しカットしにいったときに美容師がやってくれる頭のマッサージを見よう見まねで軽くやって、はい、終わり。といって深山の両肩をパンと叩くと。
「お礼、しなきゃな」
蒔田の首にかけたタオルを、つかんで引き寄せてきた。息が触れるほど顔が近づいて、今度は蒔田もどぎまぎが隠せなくなる。
「ちょ…」
この距離感はまずい。いくらなんでも。蒔田が慌てて何かを言おうとしたとき。
今回は、それ以上挑発してくるようなことはなく、すい、と視線を外して、首もとを引き寄せる手もすぐに緩められた。
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