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「なんで」
深山は初めて見る表情で。
こうやって騙し討ちみたいにつれてきて、怒るかもしれない。無理だって拒否されても、仕方ない。
それでも。この人がボールを握ってるところをもう一度見たいと思っていた。野球してるところを近くで見たいと思っていた。
結婚式で偶然に会った時からずっと。それから一緒に過ごすようになって、野球のやの字も出てこない状況に違和感を感じてても。
蒔田自身が、ここで久しぶりにボールを触って。草野球とはいえ試合にでて、やっぱり好きだなぁって思う気持ちは。きっと深山も同じはずだから。
小、中、高って、全部をかけてやってきた。それも同じだって、あの試合やその他の試合で見せた真摯な態度からわかるから。
「ねぇ、ミヤさん」
「なに」
「野球、嫌いになったわけじゃないでしょう?」
深山の目が見開かれた。黒目が揺れてる。
黒い方のグラブは、練習用。赤茶色の方は試合用。赤茶色の方を深山に差し出したら、グラブは深山の手の中におさまった。
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