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深山のことを、そんな風に名前で呼ぶ人を他に知らない。あんなに仲がいい柴田だって、ミヤ、だし。
といっても、そもそも蒔田は深山の周囲のことを知らなすぎる。お互いを知るには充分な時間をともに過ごしながら。
「あの、ミヤ…深山さんとは」
こんがらがる頭のなかを整理したくて、ようやく、三人の関係性に疑問をはさもうとしたとき。個室のドアが開けられ、もう一人の先輩が現れた。
「あれ、まだ始めてなかった?」
引き戸をたん、と勢いよく閉めて、柴田は高村の横に腰を下ろした。蒔田のよく知る先輩と、あまり知らない先輩と。目の前に並ぶとプレッシャーだ。
柴田が座った横に、深山のグラブとバットが入ってるだろうバッグが置かれて。今日の目的が達成できそうで蒔田は内心ほっとする。
その視線に気づいて、
「マキに聞きたいことは色々あるけど。とりあえずは乾杯だな!」
色々って。たぶん、深山のことを言ってるんだろう。蒔田の向かいに先輩二人がならんで、これじゃ噂に聞く圧迫面接だ。
柴田の音頭で、生ビールとビール風味飲料とで乾杯をして、蒔田はグラスに口をつけた。
毎回思うけど、これは、ドライバーとか、飲みたいけど飲めない人のためのもので。そもそも飲みたくない蒔田みたいな人間には向いてない。苦い。
「で?」
ジョッキの生ビールをあおって半分くらいにして、くはーと大息をついた柴田は、改まって蒔田の方に向き直った。
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