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”5” 王子と眠り猫 ‐4
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開いた窓から覗いた、健の個室は、・・・正に、満員御礼状態だった。
橘三兄弟に、丹羽家は父と、義母と義兄二人。
横山に井田、小田と阿川までいて、廊下にあぶれて、圭介とノダカナ。
その上、更に。
健の担当の研修医の・・・何さんだったっけ、天パーの飄々とした細身の青年を捕まえて
「親父・・・まで、何してんの?」
思わず呟くだろ。
親父は天パー君を、口角泡を飛ばし、説諭している、目の前で。
「あのさ・・・来て?」
俺が来たことに気付いた圭介が、俺を手招いて、非常階段の踊り場まで連れ出す。
「なんの、騒ぎ?」
「あ~なんかさ、オレは見てないんだよね。まず、初めに言い出したのが留華クン」
「何を」
「健くんが目を覚ましたって」
俺は、即座に、踵を返そうとし、圭介に腕を掴まれる。
「落ち着け、まだ話の途中!」
「しつけーんだ、お前の話、回りくどいの!大概にしやがれ!」
怒鳴られ、更に怒鳴り返す。
わんわん、響いて、病院の、今は、夜間なんだってことに気がつく。
ふうと大げさな溜息のあと、圭介は、いつも通り、コイツこそ真の飄々だと言わんばかりに
淀みなく、ぺらぺら話し出した。
「それが、見たのが、留華クンだけでね。ちょうど歌舞伎の子は花を活けに外してたらしいんだ。
で、慌てて、ナースコールして、すぐ来なくて、留華クンのパニックヴォイスに大童で、しばらくして
ナースちゃん登場、ウィズ、歌舞伎の子。廊下まで出迎えてた留華クンと一緒に入って、
健くんを確認したら・・・変化なしでね。留華クン、今、精神常態ヤバイでしょう?
で、どんどんパニくってく彼を宥めに、歌舞伎の子が廊下に出たわけ、二人で。
その間、ナースちゃんが見てたんだけど、そのナースちゃんも目を覚ましたって言い出して。
ちょうど、そこに、医学生友人軍団が到着しちゃって、ナースちゃん、プチパニックで
あいつらに任して、先生呼びに走って。でも、友人軍団は、変化なしだって思うくらい、いつもどおりで。
研修医くんしかいなくて、ナースちゃんにあおられて診察してて、
ナースちゃんが「目覚めそうになってるときは、肉親の人とかにいっぱい声をかけてもらえばいいんじゃない?」的な発想を勝手にしちゃって、研修医くんに意見しちゃって。
研修医くんもなんかその方がいいのかなって、ナースちゃんに、丹羽家を呼び出させちゃって。
夕方、オレ達、薬学生が来たら、大騒ぎになってたと」
「浹さんは?」
「あの人も、薬学生と同じくらい入りなんで、蚊帳の外だった人?
で、オレ等の後に中舟生パパン様のご登場で、
大騒ぎの個室を、十戒かって感じに、割って入って、適切処置しちゃって。
で、研修医くん、ありがたい教育的指導されてるってところ?
あの、ナースちゃん、病棟1、2を争うウッカリさんキャラなんだってさ~。
見たって言う人が、PTSD予備軍留華クンと、サザエさんキャラなナースちゃんで、
ニュースソースがあまりに、怪しいってね~」
・・・・・・目覚めたとしたって、タイミング最悪な人事だぞ、健。
「で、今は?」
「丹羽家の皆さんって、どっちよりな人達だっけ?」
めっちゃ、サザエさん寄りな、家族・・・だったな。
芙柚と健を覗くと、あの一家、落ち着き欠如も甚だしいんだ。
健もちょっとパニくると、可愛い凡ミスして、ぎゅーってしたくなる時、あるけどさ。
もちろん、滅多にないからな、だからレアで可愛いんだって。
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