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”13” 王子、途方にくれる‐5
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かっすかすの声を絞り出して、訴える意思。
その、ほとんどを伝えるのは無声音と唇の動き。
慣れた、欲して止まなかった至福の音。
「健。・・・無事で、良かった・・・・・・」
健の口元は、俺の名を、ひたすら呼ぼうとしている。
きらきらと大粒の涙を、溢して。
少しずつ、音声に変わって行く、愛しくて愛しくて仕方がない健の声。
「・・・うっ、くっ・・・んっ!・・・ぉっう、くっ・・・ん!」
何をおいても1番大好きな、その音を聞きたいのに、
紡いでる、かさつき戦慄く唇と重ねたくて、どうしても我慢出来なくって。
ダウンライトの橙色の光の下で、俺達は、引き合うようにキスをする。
懸命に、熱く応えてくれる唇を、触れ合うだけじゃ、すぐに足りなくなって
薄く開いてくれる合わせは、もしかして苦しいから開いてくだけなのかもしれないのに
受け入れてくれるって、感じて、舌を潜り込ませてしまって。
深く探って、健の舌を誘い出して、絡めさせてた。
酸素不足も手伝う、官能の波に、あっと言う間に攫われる俺の奥さん。
寄せる眉間の皺も色っぽくて、唇を開放したら、前髪を掻き揚げて、その額に。
キスの熱さで止まってくれた涙が光ってる眦に。
辿って流れた後でも滑らかな両頬に。いっぱいキスを降らす。
健が、キスの間、儘ならなかった呼吸を整えようとする蕩けた吐息に塗れる間中、飽くことなく。
「俺のこと、わかるんだね?」
こくこく。一生懸命に首を縦に振ってくれる。
そっか、この失踪騒動って、俺の誕生日に健が暴れたのと同義ってことか。
どうしよう、すっげぇ~嬉しくて、俺も泣きそうなんですけど。
思い出したんだ、健!俺のこと。
健の誕生日に、何かのスイッチが作動したのかな、もしかして。
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