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#82
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マンションを出て数分で目的の場所に辿り着いた。
そこは大型のショッピングモールだ。
神城はほとんど身近なスーパーなどで食材を買うので、
ここに来る事はほとんどない。
「ここ久しぶりに来たなー。恭介さんはいつもここで買い物するんですか?」
「たまにね。ここにしか置いてないものもあるから月に2.3回は来るかな。」
「え、そんなに!?俺は半年に1回あるかどうかですよ。」
「本当に?俺だって少ない方だと思うけど、それは余程だね。でも今度からは定期的に来れるね。」
「え?どうしてですか?」
「だって俺がいるだろう?言ってくれたらいつでも連れてきてあげるよ。」
「あ、ありがとうございます。」
車を持たない神城にはありがたい話だ。
それに、なんだか急に笹本の距離が近くなった事を感じて照れ臭かった。
「ところで何を食べようか、結局決めないまま来てしまったね。食べたいものはある?」
「うーん…ハンバーグ?」
「子供みたいだね。」
「ダメですか?」
「まさか。作りますよ、ハンバーグ。」
そう言って笹本は神城の髪をサラッと撫でる。
子供扱い…
だけど愛おしそうな眼差しは恋人だ。
食材はハンバーグを作る材料を含め、
神城の家で不足しているものを買った。
ついでに洗剤や入浴剤など、
ありとあらゆる生活用品も余す事なく買い足していく。
どれを選ぶのも2人で決めて楽しかったのだが、
中でも入浴剤に関しては今日のお風呂に使うとあって、
匂いや色に2人で随分とこだわっていた。
だが、今となってはその時の盛り上がりを恨んでいる。
なぜならその話の中である約束を交わしてしまっていたからだ。
全くそのせいで、
今まさに辱めにあっているのに他ならない。
「背中流してくれるんだから、服は脱がないと。濡れちゃうでしょう?」
言ってもまだ肌を重ね合ったわけではない。
お互いの裸体を見た事は1度もない。
なのにいきなりそのステップは飛ばしすぎてやしないだろうか。
神城は恥ずかしさにギリギリになって抵抗を見せていた。
それに引き換え笹本は腰にタオルを巻いているとは言え、
堂々とした姿である。
「脱ぎますよ。それは脱ぎますけど、見られたら脱げないじゃないですか!先にお風呂に入っていて下さい。」
「別にいいのに。」
「恭介さんが良くても俺がダメなんですよ!」
「分かったよ。じゃあ先に入って待ってるから。ちゃんと来てよ?」
「う…分かりました…」
風呂場へと消えていく綺麗な後ろ姿。
それが扉に遮られるまで、
神城は恥ずかしさのあまり微動だに出来なかった。
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