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「やっぱり、だめだ…。」
無機質な機械音が鳴る端末を握りしめ、堪えきれなかったため息を吐く。
あれから、2ヶ月。嵐に繋がるための連絡手段は全て絶たれていた。
電話も、メールも繋がらない。住所は知らない。
何も、知らないのだ。
「どうして…?」
もう何度目かも分からない問いかけが、1人の部屋に虚しく響く。楽しみだった週末がまた元のように味気ない日に変わった。平日アパートに帰ってきても、電話をかけてくれる相手はいなくなった。
思い出すのは、嵐の笑顔ばかり。
あの日あの公園で、泣いている僕をまた見つけてくれたのは嵐ちゃんだった。色のない平坦な日々を、もう一度色付けてくれたのも嵐ちゃんで。
どれだけ助けられただろう。
気を抜くと涙がこぼれ落ちそうで、奥歯にキュッと力を込めた。
弱気になっちゃだめ。
あの暗い日々から連れ出してくれたらんちゃんに、まだ何も返せていない。
まだやらなきゃいけないことが残ってるはずだ。
このまま終わりなんて、そんなの嫌だ。
ごめんなさい。もしかしたら貴方にとって僕の存在は、もういらないのかもしれない。
だけどお願い。もう一度だけチャンスをください。
今度は僕が貴方を迎えに行く。
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