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出会い-3
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結局断りきれず、男に送ってもらうことになった雛。
バイト先の店から雛の家までは歩いて15分程。
2人で傘をさしながら歩いていると、男が静かに雛に問いかける。
「ひなくんはいくつなんですか?」
「え...と、16です」
「16?てことは...高校生か、若いな~」
「そ、うですかね...」
「貴方はいくつなんですか」と訊こうとして、まだ男の名前を知らないことに気が付いた雛。
「えっと...あの...」
「ん?どうしました?」
「あ、あの...お名前...」
「あ。俺、自分の名前も名乗らずに...失礼しました。有明大介っていいます」
「有明、さん」
「はい。歳は24です...ひなくんに比べるとおじさんですね」
ふふ、と笑う大介はやはり綺麗だ。
雛は何故か真っ直ぐに大介の顔が見れなくて俯き加減になってしまう。
「まだまだ...若いですよ」
「そう言ってもらえると有り難いです」
雛がぽつりとそう言うと嬉しそうな返事が返ってきた。
俯いている雛は少し濡れている自分の足元を見て、初めて大介が雛の歩調に合わせてゆっくりと歩いてくれていることに気が付いた。
その細やかな心遣いに、雛の心はぽかぽかと温かくなっていく。
「ひなくんのひなの字はどう書くんですか?」
「えっと...雛祭りの雛です」
「雛くんにぴったりの可愛い名前ですね」
「そ、んなこと...」
「可愛い」なんて言われても嬉しくない筈なのに、何故かドキドキと煩い雛の心臓。
どうして...?
暫く他愛もない話をして、2人は雛の家の前まで来た。
「あ、僕の家ここです。わざわざ有難うございました」
「もう着いちゃったんだ、残念」
いつの間にか大介の敬語はなくなっていて、たった数十分のうちに随分仲良くなったように感じる。
「よかったら、連絡先...聞いてもいいかな?」
「あ...はい...」
なんとなくそう言われるような気はしていて、断る理由もなく携帯を鞄から出そうとした雛。
「雛!!」
しかし後ろから突然名前を呼ばれて動きを止めた。
「何してんの、雛」
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