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075 抗拒
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初めから、年齢を偽ることなく――――事実を伝えていたら、一体どうなっていたのだろうか。
子供だと告げたことで、敢えて「聞かされないこと」は多いと感じていた。
結婚のことも、この国のことも――「子供に話すことではない」と、自然と大人は線引きをして接してくる。
それに甘んじて、都合の悪いことは聞かないようにしてきた。
夜のこともそれは同じで、何も知らない子供であれは、無理矢理行為に及ばれることはないだろうと、高を括っていた。
何度ハリルに淫らな行為をされても、最後の一線は越えることはないだろうと思っていた。
「んぐっ……ゆるして……! やめてっ……!」
ハリルの手は止まることはない。
泣き喚いて懇願しても、彼はその手を止めてはくれない。
「うっ……んっ! うぅっ……ぁああっ!!」
後肛に入れた指に、また強制的に快楽を与えられる。
以前から、何度もされていた行為だ。
それでも、今までは「最後まではされない」と、根拠のない自信があった。
けれどもう――――今回は違う。
警笛が鳴る。
(どうしようっ……!)
今まで以上に危機を感じる。
全身に受ける口付け。
「んっ……!」
首や胸、脇腹など、皮膚の薄い所を何度も吸い上げられる。
「ふぁっ……! やっ……!!」
その唇が下腹部へ向かうと、恐怖はまた一層増す。
牢に閉じ込められた時、看守にされた行為がソレとリンクするのだ。
「やめてっ! やだぁ!!」
ハリルの髪を引っ張ると、これは効果があったらしい。
ハリルの指が後肛から抜ける。――いや、彼があえて抜いたのだろうか。
ズルリと、異物が抜ける感覚で背中が仰け反る。
中途半端に高められてから抜かれる指に、後肛が不自然に収縮し、未だ求めているかのように疼いた。
「ぅう……」
自分の身体なのに、自分のものではなくなってしまった。
僕の知らない感覚を、身体が勝手に覚えている。
「もうどいてっ……! あっち行ってよ……!」
今までとは比べられないほど、激しく抵抗する。
(逃げなきゃ……!)
どこに? と、頭の片隅に過ぎる言葉。
けれど、今は足首に着けられた枷も――鎖もないのだ。
(今逃げないと……)
シーツを掴み、転げ落ちるようにベッドから降り、一目散に部屋の扉へと駆け出す。
足がもつれる。
快楽に浸かった身体は思うように動かない。
それでも、必死に駆け寄り扉の取っ手を回す。
「うぅっ……」
いつも通り、鍵がかかっている。
ガチャガチャと鳴る扉の音で、微かに縋った希望が崩れ落ちていく。
「開けてっ!! 誰かっ!!」
扉の前に人がいるかどうかもわからないのに、目の前の白い扉を手で叩く。
それが、残された最後の選択だった。
「助けてっ……!!」
無駄かもしれないとわかって、抵抗したのだ。
わかっていて逃げ出していたのに、今は凄く後悔している。
「誰かっ……誰か開けて……」
どうせ無駄なら、やらなければ良かった。
「ぁ…………」
視界が僅かに暗くなる。
部屋の明かりが、背後に立った男のせいで遮られたのだ。
「イズミ」
怖くて、怖くて、振り向くことはできない。
「おいで」
「ひぃっ……!!」
押し返すように暴れる僕の両手を掴み、ハリルが語りかける。
「縛られたいか……?」
脅すような言葉に懸命に頭を横に振り、拒絶をする。
「やっ……」
ハリルと視線が合わさる――――こんな状況だというのに、金色の瞳に見惚れる自分がいる。
「やだっ……」
「来なさい」
腕を引かれ、なけなしに纏っていたシーツが、スルリと足元に落ちた。
――――――――――
ベッドへと戻った直後、「縛られるのが嫌なら、自分で脚を持て」と、ハリルはそう僕に告げた。
「……え……?」
有無もなく、僕の身体は仰向けで押し倒され、両脚を持ち上げられる。
「やっ………!!」
比較的身体は柔らかい方だとは思うけれど、無理に折り曲げられた態勢は苦しい。
何よりも、ハリルの目の前――――明るい光の元晒される自分の性器。
「やっ……ひいっ……!!」
折り曲げられたことにより、それが隠すことなく僕の視界に入ってくる。
「持てないか?」
聞かれるのは、質問ではない。
僕は羞恥に耐えながら、脹脛に手を添える。
「ひっぐ……ぅう……」
(恥ずかしい……こんな格好……)
羞恥でまた涙が溢れてくる。
「やだぁ……やだよぉ……」
顔を背けようとすると、ハリルに止められた。
そして、呪文のように耳元で囁かれた。
「手を離すな」
その言葉に、意識しなくともギュッと手に力が入る。
まるで言葉の呪いで操られているような、そんな感覚だった。
「やだぁっ……やだハリル……」
泣きながら首を振るが、彼はまだやめてはくれない。
「腕、やだっ! これやだぁ!!」
太ももを指でなぞられる。
寒くもないのに全身に鳥肌が立った。
暫し僕の様子を眺めたハリルは、僕のモノに指を這わす。
さっき触れることなく達したそれは、今は恐怖で縮こまっている。
そこに再び、熱が集中していく。
「ん……」
「ここを舐められるのは嫌か?」
そう言い、僕のモノを手荒に扱き始める。
「っっ……!」
一度既に達したばかりのそこは未だ敏感で、触れられるとビクンと身体が跳ねた。
「嫌か?」
確かめられるように問われ、素直に頷いた。
あの牢での出来事と同じことを、ハリルにされるのは嫌だった。
何より、この秀麗な男にその行為をされること自体が嫌だった。
「では、イズミがココを舐めてくれと強請ったら、許してあげよう」
「……っ!!」
僕の気持ちを知りもしないで、ハリルはそう告げる。
舐めてくれと頼むだけでこの行為から解放される……
「………………っ」
しかし、その言葉は出てこない。
その一言が、どうしても言えないのだ。
言おうとする度に、あの牢でのことが思い起こされる。
目を細めて、僕を見つめるハリル。
暫く黙って、僕の言葉を待っている。
(言えない……)
唇を噛み締め、視線をそらす。
このような状況で見つめられるのは耐えられなかった。
「……まぁ良い。夜は、長いのだ。焦らなくてもいい」
「ひぃ!!」
熱を持たせるような触れ方で、また行為が再開するのだと知る。
「戯れようか? イズミ」
嬉しそうに笑うハリルに、何故か以前のような嫌味はなかった。
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