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《遠退く想い》15
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「あ、ついでにこれも持って行って!」
それを呼び止めてアキラに煎れたてのコーヒーの入った大きめのコップをひとつ、ぱっと手渡して、また台所へ戻るルード。
「オッケー…ッ」
頷いて何気なく片手で受け取るが…
思った以上にコップが重くて…落としそうになるアキラ…
ぐっとコップを握って何とか持ちこたえるが…
次の瞬間…
ガシャン…!
やはり支えきれず、アキラの右手からコップが滑り落ちてしまう。
衝撃で割れた破片が飛び散り…コーヒーが床へ零れてしまう。
「ごめ…ッ」
すぐ謝ろうとするが…
ズキッと指先から腕の付け根まで痛みが走り息を詰めるアキラ。
右腕が…内側に麻痺して…腕全体が痛み出す。
右手を庇うように俯くアキラ。
「なにやってんの!?割れた?大丈夫…?火傷してない?」
ルードが心配しながら、散乱した破片とコーヒーの傍からアキラを離そうと、不意に右腕をぐいっと掴んで引いてくる。
「痛ッ!!」
とたん刺すような痛みが右腕全体に走って抑えられず声を出してしまうアキラ。
「え…、アキラ?」
驚き見返すルード。
「だ、大丈夫…離して、」
痛みに耐えながら…掴まれた腕を離してもらおうと頼む。
「でも…」
明らかに右手が異変を示している。
内側に手が硬くヒキつっていて、小刻みに震えているアキラの右腕…
「お願い…」
息を詰めながら頼む。
「…ん、」
仕方なくルードは異変がある右腕を離す。
「……」
アキラは麻痺する右腕を身体の方へ引き寄せ…左手で隠すように触れる。
自分の意志では動かない腕…
「…大丈夫?」
心配して聞くルード。
「ん…平気、片付けるから、コップ弁償するよ」
アキラは平静を装い言葉を出すが…
「そんなことはどーでもいいよ、手、どうしたんだよ!?」
明らかに様子のおかしいアキラの右腕を見て…それでも平気な振りをするアキラにルードは怒って言う。
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