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「うふふ…いいじゃない……いい素材だわ」
観察を終えた彼女は、うっとりするぐらい美しい笑顔で僕の手を取った。
その細くて繊細な指できゅっと手を握られたら、その気がなくてもドキドキしてしまう。
「あなた…最高だわ。是非いじらせて欲しいの」
「ぁ…えと……はい」
ポワーとして言葉の意味も分からないままコクリと頷いてしまった。
甘えるような声をその美しい笑みと一緒に使われては、抵抗のしようがない。
「はぅ~。じゃあまずこっちに…」
彼女に誘導されるがままに店の奥へと入って──
「はいそこまで。勝手に弄るのは禁止ですよ」
「ふがっ!?」
腕をガッと掴まれ引かれたかと思ったら、僕の視界は真っ暗に覆われた。正確にはアイツの胸にダイブしたからTシャツの布が広がっている。
「えーいいじゃない!ね?ちょっとだけ!」
ハッと我に返った僕の背中から彼女の腕が胴に回り、それに対抗するかのように奴の腕が背中に回された。
この状況何!?何のサービスだよ!?いやいやいや、違う!サービスじゃなくて…えーと危機だ!絶体絶命、ピンチ!
前後で押し問答している2人。そんな2人は美男美女で、その間にいる僕には2人のいい香りが鼻をかすめる。
より一層アイツが僕を引き寄せ、ギュッと抱きしめられる。
ドキン……なんて。
「や…やめろって言ってんだろっ!!!」
悲鳴みたいな声を上げた僕に、2人ともキョトンと目を丸くしてパッと手を離した。
その隙に急いで離れ、店の奥へ逃げ込んだ。
火照った頬が熱い。一瞬高鳴った鼓動が憎たらしい。
深呼吸を繰り返し自分を落ち着かせる。
アレは…その気がなくてもドキドキするアレだ!後ろの美女にドキドキしたんだ!ちょっと胸も当たってたし!そのせいそのせい!
「美紗希(ミサキ)さんのせいですよ」
「トドメ刺したのは遥海でしょー」
僕はぶんぶんと頭を激しく振ってから、2人を睨んでファイティングポーズをとった。
「ごめんね?えーと…」
「天音泪。今日のメイン」
「ごめんね、泪くん。つい興奮しちゃって…。
私は手塚 美紗希(テズカミサキ)。ここorangeの店長なの」
美紗希さんが眉を八の字にしてしゅんとすると、なんでも許してしまう程の威力があった。実際、怒るに怒れない…。
「いえ…大丈夫です」
「よかったぁ!うふふ。ホント綺麗!遥海!早く説明してよ!」
美紗希さんはパッと明るく笑い僕の頬をひと撫でして奴の方に顔を向けた。
アイツは僕の方に細く微笑み、美紗希さんに耳打ちした。なんて言っているのか僕には聞き取れない。
「おっけー!最高じゃない!その話乗ったわ」
「当たり前ですよ」
2人で楽しそうに笑い合う姿に少しだけの疎外感。
少しだけ尖っていた唇をアイツにツンとつつかれた。ムッとしてかじりついてやろうかと思ったけど、不味そううだし止めておく。
「じゃあ美紗希さん。1時間でお願いします」
アイツは美紗希さんに僕を預け、勝手に2階に上がって行った。
え!?置いていくの!?放置!?
「任せなさい!よし、改めて宜しくね泪くん!」
「…え?あ、はい?」
そしてあれよあれよと美紗希さんのペースに取り込まれ、1時間後。
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