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プロローグ
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一年前。僕こと天音 泪(アマネ ルイ)はこの学園に入学した。
全寮制男子校。夢のような学園。
小学生の頃から自分の恋愛対象はいつも男で、試しに女の子と付き合ってみたけど全然ときめかないし、というか女の子と話があって恋人というより、女友達のようになってしまった。
そして、女の子達から自分を可愛く見せる術を学び、男を落とす方法を学んだ。
スキンケアをして紫外線にも気をつけて、白い肌をキープ。
ふっくら赤い唇になるため、乾燥しないようリップクリームをこまめに付け潤いを保つなんてこと当たり前だ。
目は元々パッチり2重だったから睫毛の手入れだけをしている。小顔を極めるために、顎マッサージは欠かさないし、眉毛も整えている。
髪はミルクティーのような柔らかい色合い。もちろん染めている。生まれつき色素が薄いからこの色でも似合うんだもん。
身長も165cmといい感じの高さで止まってくれて、僕は完璧になった。
そして高校デビューをするにいたる。
全寮制の男子校では普通の共学よりも恋人になれる可能性がぐんと上がる。
それに、この学園は腐女子の間では有名でBLカップル多発地帯だと友達に教えてもらった。
僕はここで、好きな人と出会い付き合うんだ!そう、意気込んでいた…一年前。
「天音くん、授業始まるよ?早く移動しよう?」
「あっ、先行っててもらえる?お手洗い寄ってから行くね?」
得意な笑顔で友達に先に行ってもらい、教室に誰もいなくなったのを確信してから机にぐだぁと項垂れた。
現在高校2年生になった僕は、狙った通り可愛くて、優しい人気者に成長した。
噂通り学園内に男同士のカップルは結構いて、僕自身告白されたこともある。
だけど、今まで誰とも付き合ってはない。
全ての告白を断り続けていた。
それを繰り返しているうちに、僕は高嶺の天音くん…とか訳わかんないあだ名をつけられる始末。
全く嫌になる。
高嶺なんてことはないんだ。
ただ、僕には入学当初から片想いしている好きな人がいるってだけ。
1年生の頃同じクラスになった、菊池 勇(キクチ イサム)くん。僕の一目惚れの相手。
運動神経抜群でサッカー部の次期エースと期待されている彼。こんがり焼けた小麦色の肌、筋肉質で細とゴリの中間地点のマッチョな体型、髪は短髪だけどとても似合っている。
顔はもちろんイケメン爽やかで、笑った顔は目尻が下がりキュートなんだ。
その彼に、僕は自分のスキルの全てを発揮しアピールしまくったんだ。
時にはボディータッチをしたり、時にはツンデレになってみたり、時には上目遣いでしなってみたり……。
けれど、この1年間彼に振り向いてもらうことは出来ていない。
どんなに僕が可愛く誘っても、彼の目には止まらない。
彼が見つめる先にはいつも同じ人がいる。
天野 柚瑠(アマノ ユズル)…僕の一番最初に仲良くなった、今でも一番の親友。
彼を一言で言うなれば美少年だった。
天然の美しさ。根っからの善人。
彼は本当に綺麗で、学年1のモテ男。なのに、そんなこと気が付きもしない。
どんなに周りが彼に綺麗だと言っても否定するし、信じない。自分に自信なんかないっていつも言っている。
天然ボケで、彼に気がある奴がアピールしても冗談として受け取ったり、あんまり理解してなかったり…。
気取った所もなく、元気で活発な男子。
誰にもでも優しくて、誰からも愛される、そんな憧れの存在。
そう…だから。
僕は彼が…柚瑠が嫌いでたまらない。
何の努力もしないで全て持っている彼が妬ましい。
そして、勇くんの心まで奪っていく彼が羨ましい。
一緒にいる。たくさん話す。仲がいい親友。笑あって、じゃれあって遊んで。
だけど、嫌い。僕は腹の中でそう思っている。
真っ黒な僕と真っ白な柚瑠。
彼が天然物なら僕は人工物だろうか。
そう思えば思うほど、ますます嫌いになっていく。
彼も、僕自身も。
2年生に進級し、柚瑠とクラスが離れて僕がどれほどホッとしたか。
そして勇くんと同じクラスになってどれほど嬉しかったか。
これで柚瑠より優位に立てる。そう確信して…1ヶ月。
勇くんは未だ僕を見てくれない。
それどころか、よく柚瑠の所に行くようになってしまった。
また柚瑠と僕の差が広がる。
──あーあ。柚瑠なんか…いなければよかったのに…。
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